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日本の矛盾が見える 横浜・寿、外国人支え30年 渡辺 英俊さん「カラバオの会」スタッフ

社会 神奈川新聞  2017年12月06日 11:53

日本の外国人政策を語る渡辺さん=横浜市中区
日本の外国人政策を語る渡辺さん=横浜市中区

日本の外国人政策を語る渡辺さん=横浜市中区
日本の外国人政策を語る渡辺さん=横浜市中区

 横浜・寿地区の一角に立つ雑居ビル4階。ドアを開けると、体調を気遣う言葉に迎えられた。「風邪はよくなりましたか」。細く目尻の下がったほほ笑みに温和な人柄がにじむ。

 市民団体「カラバオの会」スタッフの渡辺英俊さん(84)は階下の伝道所でキリスト教の牧師を務めながら、外国人支援の現場に立ち続けてきた。寿を拠点に30年。振り返るほどに一転、眼光鋭く、語気を強める。

 南北200メートル、東西300メートルの寿。都会の喧噪(けんそう)から取り残された一角には、日本、そして世界の矛盾が凝縮していた。

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 原点は二つの植民地主義だ。

 戦時中、父は朝鮮半島で特高警察の一員だった。幼少期を現地で過ごし、民衆を弾圧する側に立った。贖罪(しょくざい)の念はいまも消えない。

 高校時代に大病を患ったのをきっかけに、信仰の世界に入った。やがてキリスト教が世界各地で植民地侵略の一端を担ったとの反省から、53歳でフィリピンへ渡った。1年間の滞在中、民衆の中に身を置き、個人の力では決してあらがえない絶望的な貧困を知った。安い労働力と新たな市場に先進国が群がり、富を吸い上げる。戦時中に代わる経済的な植民地主義が広がっていた。

 帰国後、寿に出入りする中で目の当たりにしたのは、豊かさを求めて来日したフィリピン人らの過酷な暮らしだった。賃金未払い、労災隠し、不当解雇。「訴えるすべを知らないことに付け込まれ、使い捨てにされても泣き寝入りを余儀なくされていた。収奪する側とされる側という構造が横浜にもありました」

 1987年、発足間もないカラバオの会のスタッフとして支援の場に身を投じた。以来30年、寿と共に歩む。

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 活動開始時、寿には1千人ほどの外国人労働者がひしめいていた。しかし90年代半ばごろから姿が減り、今では2桁まで落ち込む。

 寄せられる相談も移り変わる。当初は寿に暮らす外国人労働者の労災や解雇などの対応が中心だったが、やがて役所や病院への付き添いなど寿の外に住む外国人の生活面の支援が増えた。日本語教室や子ども向けの学習指導も手掛ける。

 「政府のその時々の方針に振り回されてきた。でもね、だからこそ、はっきりと見えました。問題に正面から向き合わず、小手先で取り繕う。それがこの国の姿です」

 海外からの単純労働者を受け入れないのが政府の基本方針だ。しかし実際は労働力を確保するため、その時々の社会情勢に応じて抜け道を用意してきた。

 オーバーステイ(超過滞在)の外国人の就労を事実上黙認し、その後次々と退去強制処分にした。一方、血縁に基づく日系人と、途上国への技術移転が名目の技能実習生を受け入れた。2008年のリーマン・ショック後は日系人の帰国を促しつつ、将来的な帰国が前提となる実習生の活用を拡大している。

 「表向きは外国人労働者を排除し、裏では日系人や実習生を都合良く利用して労働力不足を穴埋めしてきた。建前と本音を使い分け、ごまかしを重ねる。これが日本の外国人政策です」

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 日本に暮らす外国人は230万人を超える。住民60人に1人という計算だ。海外からの労働者抜きに日本経済は成り立たず、日本社会を足元から支えている。

 国際的な定義では「移民」であっても、政府はその存在を認めようとはしない。「移民鎖国」ともいうべき国策。その源流を戦時中の植民地主義にみる。

 「外国人と言えば、戦時中から中国や朝鮮半島の出身者、つまり植民地からの人々。警察が管轄し、監視の対象でした。戦後も官僚機構は変わらず、戦時中からの思想をそのまま引きずり、今も続いている」

 語るほどに身を乗り出し、身ぶり手ぶりも加わる。

 「政府にとって外国人は、ずっと取り締まりの対象です。外国人に関する法制度は、入管難民法と外国人登録法の二つあった。入管難民法に一本化された今も、管理するための法律であることは変わりません」

 現実から目を背け、移民の存在を認めようとしない政府の姿勢は、外国人の受け入れに弊害をもたらしている。定住政策が正面から議論されることはなく、場当たり的な対応に終始し、社会保障や学校教育はままならない。貧困が次世代にまで引き継がれる負の連鎖に陥っている。

 隣人として迎え入れる地域社会にも影を落とす。言葉の壁は高く、相互理解を阻む。文化の違いが摩擦となり、心の溝は埋まらない。無知や無理解が差別や偏見を生み、時に排斥にまで膨れあがる。ヘイトスピーチもその延長にある。

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