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25、26日に30年ぶり実演
継承願い伝統技復活 大山こま

話題 神奈川新聞  2017年11月25日 10:16

足踏みろくろでこまを削る播磨さん(右)と見守る金子さん(左)=伊勢原市西富岡の旧堀江邸
足踏みろくろでこまを削る播磨さん(右)と見守る金子さん(左)=伊勢原市西富岡の旧堀江邸

 江戸時代から製造され、地元のシンボルとなってきた伊勢原市の大山こま-。伝統の足踏み式のろくろが約30年ぶりによみがえり、25、26の両日、市有邸宅「旧堀江邸」(同市西富岡)で開かれる市の文化財フェスタでベテラン職人が実演する。現在の職人はわずか5人で、平均年齢は80代。子どもたちに職人を志してもらい、技術継承につなげようと企画した。

 大山こまは赤、紺、紫のラインが入る木製のこまで、ろくろで回転させた木片を削って製造される。足踏み式のろくろは、昭和30年代までは職人1人に1台あったが、電動式の登場で姿を消した。職人歴70年で最長老の金子貞雄さん(94)は「電動式と比べると、人力だからとても疲れた。作業効率も半分ほどだった」と振り返る。ただ、踏む加減で回転数を調整することができたため、「丁寧な作業には向いていた」。

 金子さんと播磨啓太郎さん(86)らが引っ張り出したのは販売促進で国内のデパートやイベントなどを回り、実演用に使っていた1台。30年ほど前から分解して保管していたが、このまま職人が世を去れば、組み立て方も忘れられてしまうと、旧堀江邸で展示することになった。

 大山こまは昭和30年代の最盛期には30軒ほどで製造され、全国の玩具店に出荷されていた。だが現在、大山地区で製造しているのは4軒のみ。職人5人の平均年齢は82・8歳で、最も若い人で68歳。昨年、職人団体「太子講」も解散し、後継者は40代の男性1人になった。

 「こま参道の由来にもなった大山こま自体がなくなってしまう」と危機感を募らせた市は今年3月、大山こまの製作技術を市無形民俗文化財に指定した。市は補助金支出や子ども向けこま作り教室の開催などで支援していくことを決めた。足踏み式のろくろの実演もその一環だ。

 文化財フェスタ前日の24日、播磨さんは足踏み式のろくろを久しぶりに動かした。「感覚を忘れていた。簡単にできると思ったが」とぽつり。金子さんは「うちのひ孫が職人になってくれるとうれしい」と話していた。

 文化財フェスタは両日とも午前10時から午後3時まで。こまの実演はそれぞれ午前10時と午後1時からの2回。浮世絵の展示なども行われる。入場無料。問い合わせは伊勢原市教育総務課電話0463(94)4711。


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