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県警、ラグビーW杯・五輪見据え 対テロ専門部隊の合同訓練余念なく
熱戦舞台裏、警備も全力

社会 神奈川新聞  2017年11月20日 10:14

ラグビーの日本代表戦前には警察官が立ち会い、手荷物検査が実施された=4日、日産スタジアム
ラグビーの日本代表戦前には警察官が立ち会い、手荷物検査が実施された=4日、日産スタジアム

 ラグビーの2019年ワールドカップ(W杯)日本大会や20年東京五輪・パラリンピックを見据え、県警がテロ対策の強化に取り組んでいる。その舞台となる横浜スタジアム(横浜市中区)と日産スタジアム(同港北区)では10、11月にプロ野球の日本シリーズとラグビーの日本代表戦が行われた。本番を意識し、多くの警察官が目を光らせた会場やその周辺を歩いた。

 10月31日、日本シリーズ第3戦のプレーボールがかかる数時間前。19年ぶりのシリーズ開催を待つ横浜スタジアムでは、警察犬2頭が鼻を利かせながら観客席などを巡回、不審物の捜索に当たっていた。


日本シリーズ第3戦の開始前に、不審物がないかを確認する県警の警察犬=10月31日、横浜スタジアム
日本シリーズ第3戦の開始前に、不審物がないかを確認する県警の警察犬=10月31日、横浜スタジアム


 午後6時半の開始が迫るにつれ、横浜公園はユニホームを着たファンらの姿が目立ち始める。JR関内駅側の道路沿いには赤色灯をともした護送車などの車両が列を作り、警察官も歩道に等間隔で並ぶ。別の警察官は指揮車上から、その動向を見守った。

 同スタジアムは五輪追加種目の野球・ソフトボールの主会場になっている。

 県警は警備上の理由から今回の詳細を明らかにしていないが、シリーズの31日、11月1、2日の3日間で延べ数百人を超える警察官を動員。1995年の地下鉄サリン事件などを受けて編成された「NBCテロ対応専門部隊」を通常のリーグ戦とは違って現地に待機させるなど、本番を視野に入れた警備網を敷いた。

 「お荷物、見せていただいていいですか」。スタッフの声が響く入場口では、手荷物検査の数メートル離れた位置で警察官が鋭いまなざしを向けた。警戒は深夜まで及び、この3日間で目立った混乱はなかった。

 一方、W杯日本大会の決勝の舞台だけでなく、五輪でサッカーの会場ともなる日産スタジアム。今月4日には、ラグビーの日本代表とオーストラリア代表の試合が、大観衆が見守る中、キックオフした。

 ここでも警察犬や多くの警察官が試合前から不審物などがないか探索。指揮車に取り付けられた電光掲示板では「テロ警戒実施中」と英語でも流れた。現場の機動隊員の一人は「現場のわれわれも心から成功を願っている。警察官としてその責任を貫く」と使命感をのぞかせた。

 県警は実地での経験を重視するとともに、訓練も積み重ねている。管轄する港北署は日本代表戦の3日前に、同スタジアムの広場に暴走トラックが突入し、多数の負傷者が出たとの想定で6機関合同訓練を実施。約160人の参加者がそれぞれの役割に応じた初動対応を確認した。

 同署の牧智明署長が「課題を共有し、対策をより充実させる」と話すように、対応すべき事案は見つかっている。同スタジアムの訓練でも想定したが、暴走車両の侵入を防ぐための対策に取り掛かる。

 日本シリーズでは3日間で延べ8万1495人、日本代表戦では4万3621人の観客が来場。本番ではさらに膨らむことが予想される。また、多数詰め掛けるとみられる外国人観戦客らへの対応も課題だ。

 県警では人員配置などを考える上で、会場の混雑具合などを検証するという。県警警備課オリンピック・パラリンピック対策室の青山一穂室長は「2年後、3年後に向けて準備を進める。地域などとの連携を深め、テロや犯罪の未然防止に努めたい」と語っている。


指揮車上で警察官が見守る中、ファンが行き交う=10月31日、横浜公園
指揮車上で警察官が見守る中、ファンが行き交う=10月31日、横浜公園

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