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「明日」を運び80年 川崎鶴見臨港バス物語(下)有機的に地域つなぐ

社会 神奈川新聞  2017年11月19日 10:29

キングスカイフロント地区内を走る臨港バス
キングスカイフロント地区内を走る臨港バス

 1988年3月、新聞に「川崎事件」との大きな活字が並んだ。JR川崎駅前に開業した複合商業ビル「ルフロン」の核テナントの百貨店が出した広告だった。駅ビル以来30年ぶりの大型店進出で、川崎の商業活性化への期待も高く、初日だけで人出は22万人。まさに「事件」だった。

 「実はこの土地や建物の一部は川崎鶴見臨港バスのグループ会社の所有です」と田中伸介社長は話す。バスの操車所の土地・建物があった場所で、ルフロンの敷地の表側の角地は同社グループのものだ。

 長年、川崎の商業をリードしてきた「さいか屋」も、土地・建物の一部は同社グループの所有だった。「かつて本社があった場所で、街づくりの顔をつくり、にぎわいができれば、と移転し、73年、増床に協力した」と坂野正典常務。地上8階地下3階建て、延べ床面積約1万平方メートルのビルを建築し賃貸した。理由は「多角経営の一環ではあるが、にぎわいができればバスの利用も増えるから」だった。

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 街づくりへの貢献は戦後の復興期にもあった。当時の金刺不二太郎市長に頼まれ、バスの車体の窓から上を切り取って貨物自動車に改造し、市内にあふれたごみなどを回収した。市民の食糧も輸送したという。

 この80年間で臨海部も変化した。円高や工場制限3法による工場転出で通勤客が減少。一方で、工場跡地に建設された高層マンションなどで住民が増加し、「川崎駅や鶴見駅から臨海部への通勤客だけではなく、臨海部から両駅に向かう流れもでき、双方向になってきた」(田中社長)。

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 そんな中で同社が注目しているのは、殿町国際戦略拠点キングスカイフロント地区(川崎区)。8月に新たに2停留所を設けたばかり。「これまでの京浜工業地帯の重厚長大産業から、ライフサイエンス分野などの最先端産業への変化の象徴」と続ける。

 2020年には、多摩川をはさんだ反対側の羽田空港と連絡橋(約600メートル)で結ばれ一体化。「もちろん、羽田へのアクセスとして路線を設置することも考えている」と田中社長。世界から医療や医学の研究・研修者が訪れている同地区は、「日本の玄関口となるエリア。その足となるとともに観光スポットとしても魅力があり、市内の企業博物館、工場夜景、グルメスポット、川崎大師、總持寺などと有機的につなぐお手伝いをしたい」と意欲を示す。

 「点(施設)を線でつなぎ、面にしていくのが当社の役割。水陸両用バスや連節バスなど、乗って楽しい、あるいは快適に乗車できるような取り組みも考えたい」。さらに地域の未来も見据え続ける。「駅前などの所有地もまだあり、再開発など街の発展に寄与し、京急グループ各社と連携して、東京や横浜を含めた京浜地区全体の利益につながるよう今後も協力を惜しまない」


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