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自閉症の自立支援キット販売好調 横浜の起業家が商品化

話題 神奈川新聞  2017年11月17日 17:40

自閉症児の自立を支援するグッズ「コバリテ」を開発した古林紀哉社長=横浜市青葉区
自閉症児の自立を支援するグッズ「コバリテ」を開発した古林紀哉社長=横浜市青葉区

 優先順位を考えながら行動することが苦手な自閉症児の自立を支援するグッズ「コバリテ視覚支援スタートキット」が、販売を伸ばしている。今月には、学校現場に特化した姉妹商品も発売した。開発した古林(こばやし)療育技術研究所(横浜市青葉区)の古林紀哉社長は、自閉症の息子の成長を見守る中で、療育で重要な役割を果たすスケジュール表の理想を追求し、商品化にこぎ着けた。古林社長は「専門家でなくても安定的に療育ができるノウハウを商品に込めた」と話す。

 キットの内容は、ユニットボードと絵カード、カードホルダーなど。「顔を洗う」「トイレ」「学校」といった一日にすべき予定や時計を絵で表現した絵カードをホルダーに入れてボードに張り、一日のスケジュール表や1週間のカレンダーとして使う。

 ホルダーは磁石式で、手先が不器用な自閉症児でも取り外しやすいデザイン。自閉症児が絵カードを確認しながら過ごし、終わればはがして付属の「終了ボックス」に入れる。カレンダーで当日に印を付ける「注目枠」も付け、一覧表から必要な情報を取捨選択することが困難な特性に目配りした。

 生活の変化に合わせて絵カードが簡単に増やせるのも特長で、スマートフォンで絵カードのデータを作るサービス「絵カードセンター」も提供する。

 コバリテは2016年1月から発売し、同年度のグッドデザイン賞を受賞。特注のため価格は3万5640円からと高額だが、使いやすさで10月末現在の販売数は417セットとなった。

 開発の背景には、古林社長の子育てがあった。01年に生まれた三男は重度の自閉症で言葉が話せず、文字も読めなかった。予定通りに生活することも一苦労だったという。「自閉症の子どもは言い出したら聞かず、決められた時間に従わない。物事の順番がうまく理解できないからだ」と古林社長は説明する。

 自閉症児の困難は、見通しが立たない生活の中で行動を強制され、パニックを起こすことで生まれる。だが、予定が理解できればスムーズに過ごせるといい、視覚的に予定を示すスケジュール表は有効とされる。

 ところが療育のための市販のスケジュール表はなく、手作りするしかなかった。古林社長も模索したが、使いやすく丈夫な物はできなかった。「大変なので使いやすいカレンダーを作ろうと、会社を立ち上げた」。15年に大手シンクタンクを退職して同社を設立し、アイデアを実現。同社の英語名を略した「コバリテ」を商品名とした。

 購入者からは「とても使いやすい」「カレンダーに書くより納得しやすいよう」などと感想が寄せられている。9日に発売した姉妹商品「スクールキット」は、磁石で壁に貼り付けられるようにしたほか、学校生活用の絵カードを追加した。これらも含め、18年秋ごろに千セットの販売を目指す。古林社長は「今後も療育に関する商品で作りたい物はたくさんある。コバリテが軌道に乗れば」と意気込んでいる。

 販売はネットから。問い合わせは同社電話045(903)0885。


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