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「あじサブレ」、師匠の遺志継ぎ 真鶴の洋菓子店

話題 神奈川新聞  2017年11月16日 02:00

「あじサブレ」について語る洋菓子店「タカヤナイ」の職人の吉川貞大さん
「あじサブレ」について語る洋菓子店「タカヤナイ」の職人の吉川貞大さん

 一風変わった真鶴の菓子「あじサブレ」が人気だ。地元の海の幸を生かした商品で町を元気にしたいと、今は亡き店主がアジを練り込んだ菓子を考案。その後も弟子が遺志を継ぎ、看板商品にまで育った名物を守り続けている。

 あじサブレを販売しているのは、大正時代から営業を続けるJR真鶴駅近くの洋菓子店「タカヤナイ」。アジの干物をイメージしてかたどられた縦約7センチ、横約11センチの大きさのサブレは、バターの風味とほのかな甘味で多くの人に親しまれている。

 小田原漁港で水揚げされたアジを3枚におろして天日干しした後、粉末にし、生地に練り込む。同店に勤める菓子職人の吉川貞大さん(46)が焼き上がりまで1人で担当している。

 その誕生は20年ほど前までさかのぼる。考案したのは前店主の柳井信孝さん。海産物以外で町の魅力をアピールできる土産品をつくれないか-。そんな思いが出発点だったという。

 当時、アジは真鶴漁港で大量に取れていた。さらに都心部まで持ち帰る時間も考え、アジを生かした焼き菓子のレシピを思い付いた。青魚特有の臭みという壁も、主婦らの知恵を借り、アジを煮詰める時間や調味料を調整するなどして乗り越えた。

 発売当初こそ、売れ行きは伸び悩んだが「臭わないですよ」などと来店客に試食を勧め続け、知名度が徐々に向上。雑誌に紹介されるようになり、今では月に1500枚ほど売れる。わざわざ都内から通うリピーターもいたという。

 生みの親の柳井さんが60歳で亡くなったのは2014年2月。吉川さんは「住民が減り、寂れていく町を何とか盛り上げたいという思いが強かった」と故人をしのぶ。生地をこね過ぎると固くなるため、微妙な感覚を求められる商品を守ることができるのも、柳井さんと二人三脚でサブレ誕生から製造し続けてきた吉川さんだからだ。

 「柳井さんにとって最も思い入れの強かった商品。たとえ他の商品はやめたとしても、あじサブレだけは守っていきたい」と吉川さん。師匠の地域を思う気持ちは商品とともに弟子に受け継がれている。

 あじサブレは、6枚入り(700円)などで販売。JR真鶴、湯河原、熱海各駅の売店で取り扱っているほか、通信販売でも購入できる。問い合わせは同店電話0465(68)0304。


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