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台風19号2カ月 暮らし再建見通せず 不安の被災者

社会 神奈川新聞  2019年12月12日 09:46

大規模な水害で浸水した住宅やマンション。付近には家財などのごみが積まれていた=11日、川崎市高津区
大規模な水害で浸水した住宅やマンション。付近には家財などのごみが積まれていた=11日、川崎市高津区

 失われた暮らしを、住まいを一日も早く取り戻したいー。県内各地に爪痕を残した台風19号から、12日で2カ月。水害や土砂災害が深刻な川崎、相模原両市などでは、ようやく再建の緒に就いた被災者がいる一方、今なお先行きが見通せない人も少なくない。継続的な支援が求められている。

■【台風19号】県内各地の被害

 「やっと片付けが一段落した。これで再建のことを考えられる」

 川崎市高津区の60代男性は11日、自宅を掃除しながら一息ついた。川沿いの住まいは1階の天井付近まで浸水し、「全壊」と判定された。

 同じ建物で暮らしていた娘夫婦は被災後、「とても住める状況ではない」と会社の寮へ転居。男性は妻らと2階での生活を余儀なくされている。「1階は壁にカビが生えている。健康被害が心配だ」

 放置していては建物が傷むと考え、修繕することを決めた。しかし、「壁紙や壁板だけでなく、水に漬かった中の断熱材も剝がし、新しくしなければならない」状態だ。最大で59万5千円が公費で負担される災害救助法の応急修理制度は使うつもりだが、「一体、いくらかかるか分からない」と不安を募らせる。

 「50年暮らしてきたけれど、これほどの浸水被害は初めて。最近はゲリラ豪雨が多く、来年以降も被害を受けるのではないかと危惧している」と話す男性は、こう本音を打ち明ける。「近所の住民、特に高齢者は再建を断念して引っ越してしまった。修繕した後、ここに住み続けるかどうかは、自分も分からない」

 土砂崩れで自宅が「全壊」した相模原市緑区の男性(86)は「2カ月間、無我夢中だった」と振り返る。

 道路上に押し出された自宅の解体撤去は「使えるものが見つかると、作業を中断して取り出すことの繰り返し」だった。泥だらけの状態で出てきた大切なアルバムは「水に浸してから干している」という。

 「片付けは終わったが、これからどうすればいいのか」と男性。今は知人が大家をしている家に身を寄せているものの、「このまま仮住まいを続けるかどうか。でも、家を建て直す余裕はない」と率直に言う。「生きている限り、どうしてもお金がかかる。貯蓄を取り崩し、公的な支援を受けながら質素にと思っていても、暮らしは厳しい」と実感する毎日だ。

 あらゆるものが土砂にのまれ、被災当初は服が1着しかなかった。「早めの避難で命だけは助かった。でも、何もかも失ってしまったので、先は見えない」


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