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横浜F・マリノス リーグ制覇
「この風景を見るために」 FW仲川、苦労糧に成長

スポーツ 神奈川新聞  2019年12月08日 00:04

15年ぶり4度目の優勝。サポーターを背に笑顔のマリノスイレブン=日産スタジアム
15年ぶり4度目の優勝。サポーターを背に笑顔のマリノスイレブン=日産スタジアム

 優勝を祝うテープが降り注いだピッチのど真ん中。マリノスを頂点へと導いた今季15ゴールのリーグ得点王、FW仲川輝人(27)は90分走り抜いた疲れを吹き飛ばし、チームメートの胸に飛び込んだ。


15年ぶりの優勝を果たし、喜ぶ横浜Mのポステコグルー監督(右)と仲川
15年ぶりの優勝を果たし、喜ぶ横浜Mのポステコグルー監督(右)と仲川

 その身に実感を湧かせようと、両拳を何度も握りしめたが「現実じゃないような空間。しばらくは頭が真っ白だった」。セレモニーでシャーレ(優勝銀皿)を掲げ、スタジアムを一周して初めて、「この風景を見るために今までサッカーをやってきた。最高の景色」と感慨に浸った。

 50メートルを5秒8で走る快足を生かしたドリブルで、フィールドを切り裂いた。厳しいマークに遭ったこの日は体を張った守備でピンチの芽を摘み、味方の攻撃をお膳立て。「ゴールを決めて優勝することが理想だったけど、チームの勝利が優先」。チームメートのMFマルコスジュニオールと並び、マリノスではディアス以来26年ぶりとなる得点王のタイトルを手にした。

 マリノス在籍は通算4年ほどだが、「本当に長かった。苦しかった」と振り返る表情に、苦労がにじむ。川崎市出身で中学、高校の6年間をJ1川崎フロンターレの育成組織で過ごすも、身長161センチの点取り屋はトップチーム昇格はかなわず大学へ。マリノス入団直前には選手生命を脅かす大けがを右膝に負い、入団後も2度のJ2クラブへの期限付き移籍で「武者修行」に出向いた。

 度重なる壁にぶち当たっても、「いつかこの経験が生きる」と信じてはい上がった。貧血気味だった体を食事面から見直し、栄養士のアドバイスを受けてレバーやアサイー、魚も皮まで食べて鉄分を頻繁に摂取。体のケアに時間を掛け、試合後は約2時間、ロッカールームにこもる日もある。

 2度目のマリノス復帰となった昨季9得点し、才能を開花させた。今季はシーズン終盤に出場5試合連続ゴールを決め、逆転Vへのラストスパートに貢献。ドリブルにさらなる自信を宿し、「状態がいい時はドリブルをしている時に(ボールを見ていても)周りが見える」と言ってのける。

 10日に韓国で開幕する東アジアE-1選手権に臨む日本代表に初選出され、いきなりエースナンバー10番を託された。「選手である限り代表は目指さないといけない。もっと成長できる」。マリノスのヒーローが紡ぐ物語は、これから本章に入る。


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