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東名あおり事故
「危険運転」認定も地裁差し戻し 手続きに違反、東京高裁

社会 神奈川新聞  2019年12月07日 05:00

東京高裁
東京高裁

 大井町の東名高速道路で2017年6月、「あおり運転」を受けて停止させられた静岡市の一家4人が後続車に追突されて死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた無職石橋和歩被告(27)の控訴審判決で、東京高裁は6日、懲役18年とした一審横浜地裁判決を破棄し、審理を地裁に差し戻した。一審同様に危険運転致死傷罪は成立するとしたものの、朝山芳史裁判長は「一審の訴訟手続きに明らかな法律違反がある」として、裁判員裁判をやり直すべきだと判断した。

 判決などによると、一審の裁判官は公判前整理手続きの中で、同罪の成立を否定する見解を表明した。検察側はその後、追突事故が起こるまで一家を停車中の車内にとどまらせたとする監禁致死傷罪を予備的訴因として追加。しかし、判決では一転して危険運転致死傷罪の成立を認めた。

 朝山裁判長は判決理由で、一審裁判官のこうした姿勢を問題視。「(同罪の成否は)裁判員も含めた合議で判断すべきで、あらかじめ見解を表明することは裁判員法に違反する越権行為」とした。事前の見解を前提に公判に臨んだ弁護人にとって、突如真逆の判決内容を宣告されたことは「不意打ちになる」とも批判した。

 一方で同罪の成否に関しては、一審の判断を追認した。被告の路上への停止行為自体は危険運転に該当しないとして検察側の主張を退けた。その上で次の論点となる、被告の妨害運転と一家が死傷した追突事故との間に因果関係が認められるかを検討した。

 被告の妨害運転は危険運転に当たり、一家に路上への停車を余儀なくさせたと指摘。停車後に被告が一家の車に詰め寄って暴行を加えたことで停車が継続された結果、「後続車の追突の危険性が高められて顕在化した」とし、因果関係があると認めた。後続車の運転手の過失についても「高度とは言えない」とした。

 東京高検の久木元伸次席検事は「判決内容を十分に検討し、適切に対処したい」とコメントした。

 判決によると、被告は17年6月5日夜、現場から約1キロ手前の中井パーキングエリアで、車の止め方を注意されて憤慨。一家のワゴン車の進路をふさいで停車させた上、男性=当時(45)=に暴行を加えるなどし、後続の大型トラックが突っ込む事故を引き起こした結果、男性と妻=当時(39)を死亡させ、娘2人にも軽傷を負わせた。

◆危険運転致死傷罪 酒や薬物の影響で正常な運転が困難な状態や、制御が難しい高速での運転のほか、通行妨害目的での接近、殊更に赤信号を無視するといった運転の結果、人を死傷させる事故を起こした場合に適用される。致死罪の法定刑の上限は懲役20年で、裁判員裁判の対象。1999年、東京都の東名高速で飲酒運転のトラックに追突され、女児2人が死亡した事故などをきっかけに2001年、刑法に新設された。14年5月に刑法から交通事故関連規定を分離した自動車運転処罰法の施行で、適用対象が広がった。

【解説】一審追認し反証促す

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