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中村医師「真の国際貢献を体現した人」 悲報に関係者

社会 神奈川新聞  2019年12月05日 05:00

中村哲さん(2014年撮影)
中村哲さん(2014年撮影)

 憲法9条を体現する人だった-。アフガニスタンで長年、農業用水路の建設などに携わってきた医師の中村哲さんが4日、現地で銃撃を受け、死去した。県内でゆかりのある人たちは深く悲しみ、信頼関係を築きながら地道に進めた「真の国際貢献」に改めて敬意を示した。

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 アフガニスタンでの取材経験もあるジャーナリストで映画監督の綿井健陽さん(48)=川崎市=は「非常に残念。言葉もない」と声を落とした。講演を聴き、著書も手に取ってきた。「中村さんほど現地に溶け込み、人々の信頼を得てきた人はいない。海外での支援活動ではまさに日本を代表し、憲法9条の精神を体現してきた存在。心から尊敬してきた」と悼んだ。

 「あまりに悔しい」。テレビキャスターの金平茂紀さん(65)=横浜市=は声を詰まらせた。2016年に報道番組で向き合ったロングインタビューを振り返り、「最もアフガニスタンに尽くした日本人が、その地で撃たれ亡くなったことに嘆きしかない。神様はいないのか」。それでも「泣き言を嫌う人だった。『そんなこと言うならおまえが行って、やれ』という声が聞こえる。中村さんが取り組んできたことの一部でも引き継ぐ。それが一番喜ぶはず」と前を向いた。

 平和学の研究者で明治学院大国際平和研究所(横浜市戸塚区)の高原孝生教授(65)は、中村さんの現場での実践に注目してきた。「必要なのは自衛隊ではない」と訴えた01年10月の国会での発言が、今も胸に残っているという。

 中村さんは医師として現地で銃弾に倒れた人々を治療する中で対症療法にすぎないと感じ、紛争自体の解決を目指した。「アフガニスタンの紛争は干ばつで食べられないために起きていた。農業を取り戻すことこそが紛争解決の道だと信じ、ここまでやってきた」と功績を振り返り、「本当の国際貢献とは何なのか。日本が世界の平和のためにできることを身をもって示してきた。残念でならない」と無念そうに語った。

 ボランティア団体などで構成する「かわさき国際交流民間団体協議会」は、9月に中村さんを招いて特別講演会を開いた。同協議会会長の山本忠利さん(79)=川崎市=は「中村さんは水が確保できなければ何もできないことや、受け入れられるためには現地の人に役立つことをひたすら取り組むと語っていた」と振り返る。

 参加者から「自分も支援にいくことはできるか」と質問され、中村さんは「今は最も不安定で危険な状態にある。連れていくことはできない」と答えたという。山本さんは「中村さんは状況を把握した上で活動し続けていたが残念。どうしてこんなことになったのか、何とも言いようがない」と話した。


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