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11月3日開催
花形「奴」に10年ぶり新人 箱根大名行列

話題 神奈川新聞  2017年11月02日 23:36

ほうきを「毛やり」に見立て、練習に励む井上靖雄さん(右)と栢沼拓也さん =箱根町湯本
ほうきを「毛やり」に見立て、練習に励む井上靖雄さん(右)と栢沼拓也さん =箱根町湯本

◆町外募集が奏功
 人口減や少子高齢化により伝統行事を受け継ぐ担い手の確保が各地で難しくなる中、箱根町で3日に催される「箱根大名行列」に新顔5人が加わることになった。「1年生」の登場はほぼ10年ぶりで、保存会が町外でも参加を呼び掛けたことが奏功した。花形の「奴(やっこ)」役を務める5人は「自分たちの力で地域を盛り上げられれば」と意気込んでいる。

 保存会によると、奴役に初挑戦する5人はいずれも町外の在住者。祭り当日は行列の先頭を歩き、4人が長さ5メートルほどの毛やりを、1人が赤色の衣装箱「はさみ箱」を担当する。

 大名行列は1935年から続く伝統行事で、小田原藩11万3千石の格式にならい、侍や女中に扮(ふん)した参加者が江戸時代の参勤交代を再現する。中でも最前列で踊りながら毛やりを投げ合ったり、はさみ箱を渡し合ったりする奴役は花形。かつては「町内在住の長男」という条件を課して希望者を限定するほど人気があったという。

 だが、時代とともに人口が減り、若い世代は町外へ。町内に残って家業を継いだ若手も繁忙期で練習や本番に参加できず、奴役の高齢化が進んだ。保存会の田中康久会長(62)は「本番当日にならないと、奴が20人そろうか分からなかった」と明かす。

 保存会の訴えに応じてくれる町内の若手はいなく、そこで一計を案じたのは昨年秋。後ろで練り歩く役として大名行列に一般参加していた町外の30~40代にも声を掛けたところ、5人の手が挙がった。

 新人たちは仕事終わりに保存会メンバーの指導を受けるなどし、その後も自主練習に励む。そのうちの一人、小田原市に住む町社会福祉協議会職員の栢沼拓也さん(34)は「地域に貢献したい」との思いで汗を流している。

 「毛やりを持ったまま片足で立ってバランスを取るのが難しいが、観客に喜んでもらいたい」と抱負を語る栢沼さん。二宮町に住む介護福祉士で同職員の井上靖雄さん(35)も「コース沿いに住む(施設の)利用者が『応援しているよ』と楽しみにしてくれている。格好いい姿を見せたい」と燃えている。

 一方、担い手不足は箱根町に限った話ではない。

 30基以上の神輿(みこし)が海岸に集結する茅ケ崎市の「浜降祭」では、担ぎ手の減少や各神社で神事を執り行う宮司らの高齢化が課題という。実行委員会を務める茅ケ崎商工会議所は「将来的に参加する神輿の数が減ってしまう可能性もある」と危惧する。

 平塚市の「湘南ひらつか七夕まつり」でも、巨大な竹をきらびやかに彩る市民飾りを作る「湘南七夕の会」のメンバーは70代が中心。地元の高校生からは模擬議会で小学生から大学生までの“学生連合”を組織し、七夕飾りを作ろうとの提案も出た。

 曲がり角に立ちながらも各地域は伝統行事の存続の道を模索している。田中会長は「若い世代が参加し、大名行列がさらに活気づく。その雄姿をぜひ楽しんでほしい」と新しい風に期待を寄せた。

 大名行列は、午前9時35分~午後2時半。問い合わせは、箱根湯本観光協会電話0460(85)7751。


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