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4次安倍内閣が発足 改憲加速、民意どこへ

政治行政 神奈川新聞  2017年11月02日 02:00

家電量販店の大型テレビで、首班指名を待つ安倍氏の様子を見る有権者=1日、横浜市西区
家電量販店の大型テレビで、首班指名を待つ安倍氏の様子を見る有権者=1日、横浜市西区

 自民党の大勝に終わった衆院選から10日余り。第4次安倍内閣が1日、発足した。選挙期間中は正面から訴えなかったが、首相悲願の改憲が現実味を帯びる。「安倍さんなら大丈夫」と“妄信”する自民支持がある一方、野党の“失点”による消極的な選択も少なくない。「ふわりとした民意」はどこに向かうのか。主権者たる有権者が問われている。

 1日午後、横浜市西区の家電量販店。陳列されている最新の大型テレビに、首相指名された安倍晋三首相の笑顔が大きく映し出された。同市南区の児童福祉職の男性(36)は「景気回復と北朝鮮問題をしっかり対応してほしい」と期待した。

 首相自身が強い意欲を見せる改憲には「どちらかと言えば賛成」。対案を示さず批判ばかりを繰り返す野党の姿勢は「反対のための反対」のように映り、「与党の言い分の方がすんなり入ってくる」。

 同市旭区の会社員の男性(24)は衆院選で自民に1票を投じた。「ほかに選択肢がない」というのが理由だ。「改憲はどちらかと言えば賛成寄り。安倍さんが言うならそうなんじゃないか、と」と苦笑する。

 投開票日2日前の10月20日。藤沢駅前(藤沢市)は安倍首相の街頭演説見たさに聴衆がひしめき合った。支持者の手には、首相の顔が大写しとなった自民の政策パンフレットやピンクのハートマークが描かれたプラカード。「反安倍」の団体がビラを掲げると「見えねえよ」という罵声が飛んだ。

 「友達とシェアするつもり」。同市在住の女性(21)はスマートフォンを持った右手を懸命に伸ばし、動画を撮影した。偶然通り掛かっただけで「政治はよく分からない」。それでも「こんなに多くの人が集まってる。安倍さん、何かすごい」。

 買い物に訪れていた相模原市南区の主婦(49)は「一つ一つの言葉に力があった。人を引き付けるものが決定的に違う」と興奮冷めやらぬ様子で語った。

 特に、共感したのは北朝鮮の核・ミサイル開発問題。「戦力を持っていない日本が他国から攻められたら終わり」と自民が掲げる改憲には賛成の立場を鮮明にする。演説では一切触れなかったが、気にはならなかった。「すべて任せる。安倍さんを信用しているから」

 改憲を呼び掛ける国内最大級の右派団体「日本会議」が主導する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が展開している「1千万人賛同署名」の達成率はすでに99%。署名する時に記入する住所や電話番号などは、国民投票の際に賛同を呼び掛けるための「名簿」にそのまま形を変える。

 集会にも参加する横浜市磯子区の主婦(34)は北朝鮮や中国を日本の脅威と危機感をあらわにし、「自国を独自に防衛できる体制が必要」。必ずしも積極的ではない自民支持者には「目を覚ましてほしい」といら立ちを隠さない。

 ただ、賛同者の“予備軍”と言える貴重な存在。主婦は力を込める。「何とか取り込んで改憲を実現したい」

政治も「旬」に流され


 「政治が一種のバラエティーとして消費されている」。臨床心理士の矢幡洋さんは「有権者の関心が政治家のパーソナリティーに向かっている。メディアにあおられるがままに、旬な政治家にだけ視線を向けている」とし、「特に主流の無党派層にその傾向が強い」と分析する。

 「有権者は『自分の頭で考える』という一種の反骨的なセンスがなくなり、『メディアに取り上げられている=価値がある』と疑わなくなっている」。行き着く先は、有権者のさらなる無力化だ。有権者は声援を送るだけで無力な存在にとどまり、ますます弱く、依存的になる一方、政治家はより強大な存在となる。

 特効薬はない。求められるのは、パーソナリティーを消費する劇場型政治から政党政治への回帰だ。「各党の主張と、自分たちの生活や国家としての今後のあり方への影響を見極め、だからこの政党を支持する。政党政治の基本に立ち戻ることが必要」と指摘する。

 「いま目の前にある政治は、国民の選択の表れ。まずはそこを認識する必要がある」。そう話すのは、メディアと政治の関係に詳しい東京都市大(横浜市都筑区)の李洪千(リホンチョン)准教授だ。

 首相はこれまで、国政選挙でほとんど訴えなかった特定秘密保護法や安全保障法制、「共謀罪」法を成立させてきた。李さんは「政治とは、必ずしも善人のやるものとは限らない。どのような手法を使うかは政治家の判断」と指摘する。

 試されているのは有権者だ、と言う。「そのような政治を許し、維持させているのは国民。もし間違った選択をしたと思うなら、現状を変えるプロセスが民主主義にはある」と説く。

 有権者は政治にどう向き合えばいいのか。李さんは「ただ見ているだけでは何も変わらない。自分の意思を行動で示さない限り、政治家には国民の声は届かない


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