1. ホーム
  2. 時代の正体
  3. 「人権フェア」で歓迎の声 差別根絶条例案、市議会に提出

時代の正体 差別のないまちへ
「人権フェア」で歓迎の声 差別根絶条例案、市議会に提出

時代の正体 神奈川新聞  2019年11月26日 05:00

条例案の提案説明を行う福田市長=川崎市役所
条例案の提案説明を行う福田市長=川崎市役所

 川崎市議会第5回定例会は25日、本会議を開き、福田紀彦市長が「差別のない人権尊重のまちづくり条例案」の提案説明を行った。「人権を尊重し、共に生きる社会をつくる取り組みとして議会やパブリックコメントの意見を踏まえて提案した」と強調。差別の根絶に向けた強い意志を示す全会一致の成立へ改めて意欲を示した。

 条例案は全5章24条。前文では、多様性を重視し人権施策を実施してきた市の歩みに触れながら、なお残る差別の存在とヘイトスピーチやインターネットによる人権侵害といった新たな課題に言及。必要性を指摘した上で「全ての市民が不当な差別を受けることなく個人として尊重され、生き生きと暮らすことができる人権尊重のまちづくりを推進していくため、この条例を制定する」とうたう。

 人種や性的指向、出身、障害などを理由にしたあらゆる差別的取り扱いを禁じた上で、在日コリアンの排斥を唱えるヘイトデモが繰り返されてきた実態を踏まえ、ヘイトスピーチには罰金最高50万円という刑事罰を全国で初めて設ける。

 市や市民、事業者の責務も明記。差別をなくすための人権施策の基本計画策定やインターネット上のヘイト書き込みを含む人権侵害の被害救済の実施なども盛り込んだ。

 市長に続いて条例案の全体像を説明した向坂光浩市民文化局長は「人権尊重のまちづくりを総合的かつ計画的に推進し、共に生きる社会の実現に資することを目的として制定する」と重ねて強調した。

人権フェアで歓迎の声
「もっといいまちに」

 JR川崎駅東口の地下街アゼリアで23日に開催された「かわさき人権フェア」。世界人権宣言が国連で採択された12月10日の人権デーと人権週間(同4~10日)に先立ち川崎市が主催している啓発イベントだが、いつもと様相が違っていた。「参加者がいつもより多い」と職員の一人。参加者は「差別のない人権尊重のまちづくり条例」への期待感を口にし、会場はどこか華やいだ雰囲気に包まれた。

 1条ずつパネルになった人権宣言全30条が展示された会場。5歳の里子と足を止めたフィリピン出身の小沢マユミさん(52)=同市川崎区=は一人一人ありのままが尊重される大切さをテーマにした絵本の読み聞かせを楽しんだ。


絵本の読み聞かせも子どもたちを楽しませた人権フェア=23日、川崎駅地下街アゼリア
絵本の読み聞かせも子どもたちを楽しませた人権フェア=23日、川崎駅地下街アゼリア

 あらゆる差別を禁じる条例の制定に向けた市の動きを知り、「とてもいい話でありがとうという気持ち。成立が待ち遠しい」。外国にルーツを持ち、複雑な家庭環境から親元を離れざるを得なくなった子どもを里子に迎えてきたといい、「外国人に対する差別がある。いっぱい泣いてきた。『人は生まれながらにして自由で、尊厳と権利は平等』なはずでしょう」とたったいま目にした人権宣言第1条をそらんじた。

 市内の中学生による人権作文コンテストで金賞に輝いた市立柿生中3年の藤村永愛(えいあ)さん(15)も賞状を手に「条例のことは知らなかったが、できたら川崎はもっといいまちになる」と声を弾ませた。

 作文には自身の斜視についてひどいことを言った同級生を担任がしかってくれたエピソードをつづった。「差別をしてはいけないというルールがしっかり示されれば、差別をする人は減る。傷つけられる人が減っていき、ゼロになってほしい」と話した。

 25日開会の市議会で行われる条例案の審議を前に市人権・男女共同参画室の担当者は「まずは成立に全力を注ぐ」と表情を引き締め、続けた。「来年のフェアでは条例の啓発に力を入れたい。条例が私たちのまちの世界人権宣言になる」


シェアする