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「川崎市の態度許されぬ」 慰安婦映画中止巡り抗議声明

社会 神奈川新聞  2019年11月20日 05:00

映画「主戦場」の上映に懸念を表明した川崎市の対応に抗議する声明を提出した後、記者会見する市民や弁護士有志=川崎市役所
映画「主戦場」の上映に懸念を表明した川崎市の対応に抗議する声明を提出した後、記者会見する市民や弁護士有志=川崎市役所

 川崎市麻生区で開催された「KAWASAKIしんゆり映画祭」で、慰安婦問題をテーマにしたドキュメンタリー映画「主戦場」の上映が市の懸念表明によって一度は中止になった問題で、市民有志らは19日、市の対応に抗議する声明を市内外の賛同者434人の名簿を添え、市市民文化振興室に提出した。

 声明は「予算を握る自治体の(懸念の)意向を無視すれば次回の開催が危ぶまれるかもしれないとの危惧を主催者に与えて萎縮させる」と指摘。文化芸術振興への正しい理解と、職員による懸念表明を「適切だった」とした福田紀彦市長の発言撤回を求めている。

 同映画祭での「主戦場」上映を巡っては、慰安婦問題を否定する一部出演者が上映中止を求めて提訴したことを受け、共催する市が懸念を表明。主催のNPO法人は中止を決めたが、映画関係者や市民の後押しを受け、上映が実現した。

 声明には市内外の市民や学者、弁護士らが名を連ねている。声明提出後、記者会見した憲法学者で聖学院大学の石川裕一郎教授は「憲法の中でも、表現の自由はとりわけ傷つきやすい権利。侵害された人が声を上げにくいからだ。公権力の懸念表明は、主催のNPO法人に限りない萎縮効果をもたらす。そのことに行政は自覚的であるべきだ」と述べた。

 武井由起子弁護士は「市の対応、市長の発言は文化芸術活動の自主性尊重を掲げる市文化芸術振興条例に反する」と指摘。今回の一連の問題について「慰安婦や徴用工など日本の過去の加害行為に関する表現を抑え込もうとする昨今の動きの一つ」との考えを示した上で、「多様性を掲げ、差別のない街を目指す川崎市ではなおさら許されない行為だ」と批判した。


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