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上映巡る川崎市の介入に抗議声明 市民有志ら賛同募る

社会 神奈川新聞  2019年11月13日 05:00

上映が実現した「主戦場」の観覧希望者が長い列を作ったしんゆり映画祭=4日、川崎市麻生区
上映が実現した「主戦場」の観覧希望者が長い列を作ったしんゆり映画祭=4日、川崎市麻生区

 川崎市麻生区で開催された「KAWASAKIしんゆり映画祭」で慰安婦問題をテーマにしたドキュメンタリー映画「主戦場」の上映が市の懸念によっていったん中止になった問題で、市民有志らが市の対応に抗議する声明への賛同を募っている。

 声明は、文化芸術活動の自主性尊重をうたう文化芸術基本法や市文化芸術振興条例を挙げ、「市は介入することなく予算援助や会場提供など条件整備を行うべきだ。このような懸念を表明してはならない」と指摘。「予算を握る自治体の意向を無視すれば次回の開催が危ぶまれるとの危惧を主催者に与えて萎縮させる」とし、文化芸術振興への正しい理解と市の介入を肯定した福田紀彦市長の発言撤回を求めている。

 主戦場を巡っては、慰安婦問題を否定する一部出演者が上映差し止めを求めて提訴したことを受け、共催者の市が懸念を表明。主催のNPO法人が上映を取りやめた。

 上映は映画関係者や市民の「表現の自由の侵害だ」といった批判や激励が後押しとなって4日に実現したが、福田市長は「裁判でどちらの側の有利不利になってもいけない。懸念の表明は適切だった」との見解を表明。声明では「市長の立場によれば、気に入らない表現に関し司法手続きをとれば封じることができる。このような考え方は結果として上映差し止めを求める勢力の後押しをしている」と中立性を掲げる市の矛盾も指摘している。

 呼び掛け人には市内外の市民や学者、弁護士らが名を連ね、その一人で川崎市民の武井由起子弁護士は「言論の封殺は多様性を大事にする川崎市ではとりわけあってはならず、市の介入をあしき前例にしてはならない」と訴える。賛同者は17日までに以下のアドレス(sandou.shinyuri@gmail.com)に氏名と肩書、川崎市民か否かを書き込む。

 「川崎市を本当の『芸術のまち』にアクション有志声明」と題し、市民有志が賛同を募っている声明は以下の通り。

 私たちは、今回のしんゆり映画祭における「主戦場」上映をめぐる、川崎市長や担当市職員の発言など川崎市の対応に強い懸念を持つ川崎市内外の市民・学者・弁護士有志です。

 川崎市職員は、同映画上映につき、主催者に対し、訴訟になっている作品を上映することへの懸念を示し、そのことにより、上映は中止になりました。その後、関係者と市民の努力で上映できた翌日の2019年11月5日、川崎市長は、この職員の懸念表明は適切だったと述べ、川崎市が同映画祭を共催していることから、映画の差し止めを求めている方からすれば川崎市が上映を後押ししたといわれかねないとも発言しました。

 そもそも、文化芸術基本法は「我が国の文化芸術の振興を図るため」「文化芸術の礎たる表現の自由の重要性を深く認識」「文化芸術活動を行う者の自主性を尊重」とし、地方公共団体の責務として、同理念に基づき、施策策定および実施する責務を負うとしています。川崎市文化芸術振興条例においても「文化芸術活動を行う者の自主性および創造性が尊重されなければならない」とされています。

 このことからは、このような映画祭において、市から独立したNPO法人が映画祭の内容を決め、共催者である川崎市は、内容に介入することなしに予算援助や会場提供など条件整備を行うべきことは明白です。つまり、市職員はこのような懸念を表明してはならず、川崎市長のそのような心配は無用のものです。むしろ、これらの発言は、予算を握る自治体の意向を無視すれば次回の開催が危ぶまれるかもしれないとの危惧を主催者に与えて萎縮させるもので、いったん上映中止に追い込み、その後、主催者及び市民たちが上映にこぎつけた努力を無にするものです。また、川崎市長の立場によれば、気に入らない表現に関し司法手続きをとれば封じることができるわけで、不合理です。このような考え方は、結果として、上映差し止めを求める勢力の後押しをしているわけです。

 現在、慰安婦や徴用工など日本の過去の加害・差別的行為に関する表現を抑え込もうという動きがあり、今回の動きもその一つと考えることができます。多様なルーツを持つ住民が多く、「多様性」を市のイメージとし、差別を許さない川崎市において、このような態度はなおさら許されないものです。

 私たちは、表現の自由を守ろうとする全ての人たちと連帯し、(1)日本中の自治体の首長・職員に対し、文化芸術振興に関し正しい理解を求め、(2)川崎市に対し、市長発言の撤回を求め、職員の懸念発言に抗議するとともに、「芸術のまち」を冠するにふさわしい自治体となってもらえるよう願います。


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