1. ホーム
  2. 経済
  3. 挑む中小企業(2)薄膜成膜試験 簡易に

第34回神奈川工業技術開発大賞 ビジネス賞 ジャパン・アドバンスト・ケミカルズ(相模原市中央区)
挑む中小企業(2)薄膜成膜試験 簡易に

経済 神奈川新聞  2017年10月25日 12:00

ビジネス賞を受賞した多目的薄膜材料開発用成膜プラットフォーム=相模原市中央区
ビジネス賞を受賞した多目的薄膜材料開発用成膜プラットフォーム=相模原市中央区

 基板となる物質表面に薄膜と呼ばれる極めて薄い膜を付けることで電気を通したり、発熱したりなどの新たな機能を持たせ、付加価値を生み出す「薄膜成膜技術」。クルマやスマートフォン、半導体メモリーなど先端分野を支える技術だが、その試験を簡易に実施できるようにしたのが、「多目的薄膜材料開発用成膜プラットフォーム」だ。

 技術革新に大きく寄与する同技術だが、求める機能を持つ新規化学材料を開発するには多大なコストや時間がかかる現実も。「新しい材料の試験に取り掛かる前ですら装置が汚染されないか、などリスク判断に1年を要することもある」(同社)。

 また、既存の薄膜成膜装置はその装置メーカーが設定した条件の範囲での運用のため、時間や費用をかけた上で改造が必要となる場合もあるという。

 ゆえに「化学材料をよく知るわれわれが、薄膜成膜技術の試験がもっと簡便にできる環境を提供できるようにすればメーカーの技術革新を手助けできるのではないか」と目を付けた。

 プラットフォーム開発に2009年から着手。当初は小さな装置だったのが、多様な試験ニーズに応えるため大型化。15年夏に完成した。

 既存装置より短時間でテストに取り掛かれる設備環境を具現化。試験条件の面でも900度のステージ温度を実現し「将来の普及が期待されるナノカーボン系薄膜など成膜できる物質の幅を広げた」。成膜を施す成膜室と呼ぶ設備内を超高真空仕様とし、「酸素や水分の影響を極限まで減らし、それらに敏感な薄膜の試験が出来るようにした」。

 プラットフォームの評判は上々だ。これまで全国から100件を超す受託開発案件が寄せられ、「新たな受託は2~3カ月待ち」。薄膜に持たせたい機能について、メーカー担当者と一緒にプラットフォームを使いながら材料や手法を議論し、成膜ができるかどうかや安全性の確認を共に検証する。

 同社は「われわれのプラットフォームから日本の新しい産業や製品のタネを生み出していきたい」と期待を込めた。

ジャパン・アドバンスト・ケミカルズ 2004年3月設立。資本金9736万円。特殊試薬開発販売、ステンレス容器製造販売など。従業員数12人。相模原市中央区上溝。


三尋木 勝洋社長
三尋木 勝洋社長

シェアする