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捜査難航、動画で進展 川崎・乳児死亡 暴行容疑で母逮捕

社会 神奈川新聞  2019年11月05日 05:00

神奈川県警本部
神奈川県警本部

 川崎市宮前区で暮らしていた生後4カ月の男児が虐待が疑われる状況下で2月に死亡した事案で、県警は先月、死因とは無関係の暴行容疑で母親を逮捕した。男児の病院搬送直後から進めてきた捜査は、目撃者がおらず死に至るまでの経緯がつかめないことから難航。そんな中、暴行の様子を収めた動画が見つかった。県警は、今回の逮捕を足掛かりとして男児死亡の真相解明を目指す。 

 暴行容疑で逮捕されたのは、母親(30)=東京都八王子市。昨年10月15日と23日、当時住んでいた同区の自宅で、当時生後1カ月だった長男をたたくなどした疑いが持たれている。

 虐待が疑われる事案として県警が認知したのは、今年1月11日だった。県警によると、長男は同7日に意識不明の状態で病院に搬送され、病院から通告を受けた川崎市中部児童相談所が届け出た。長男は約1カ月後に死亡。激しく揺さぶるなどした際に現れることがある慢性硬膜下血腫の症状が頭部に見られたという。

 県警は司法解剖を実施した上で、複数の医師に見解を聞き診断してもらっている。しかし、死因も含め長男の身に何があったのかについては「特定できるだけの症状がない」(捜査幹部)という。

うつぶせ放置、胸たたく映像も

 密室で行われることが多い児童虐待は、目撃者がいないケースも多い。長男の死亡について、同容疑者は黙秘し、同居の夫(39)からも情報は得られていないという。

 有力な手掛かりがない中、県警は先月29日に暴行容疑での逮捕に踏み切った。それを可能にしたのが動画だった。撮影者や目的など詳細は明らかにされていないが、長男の鼻や口をふさぐように約40秒間、うつぶせにして放置したほか、胸を複数回たたくような様子が写っていたという。この行為によるけがの診断はなく、通常は虐待死よりも立証が難しいケースだ。「捜査開始後、しばらくして見つかった」(捜査幹部)という動画は、埋もれていた事案を表面化させ、難航する捜査を進展させた。

 県警は暴行事件を突破口に、長男の死亡に関する容疑の立件を視野に入れる。捜査幹部は「虐待が疑われる事案を放置することはできない。粘り強く捜査を続けていく」と話している。

 児童虐待防止などに取り組むNPO法人「Good Family(グッド・ファミリー)」の井上ケイ代表理事は「逮捕された段階では断定的なことは言えない」と前置きしながら、「事件が増えているように感じるし、実際に相談も多い。たとえちょっとした虐待行為でも立件することで、一定の抑止効果がある」と話す。「死亡した原因についても慎重かつ懸命な捜査をしてほしい」と捜査の行方を注視している。


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