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大正期の「シチウ」再現 横浜の和食店、舌の記憶でレシピ

話題 神奈川新聞  2019年11月04日 15:18

「濱のビーフシチウ」と写真を手にする(左から)増田さん、浜田太郎さん、浜田真由美さん=横浜市神奈川区
「濱のビーフシチウ」と写真を手にする(左から)増田さん、浜田太郎さん、浜田真由美さん=横浜市神奈川区

 100年前の味をもう一度-。大正時代に横浜の食堂で提供されていたビーフシチューを、横浜市神奈川区のそば・和食店「島田橋やぶ」が復元、評判になっている。同店で保管していた写真と当時の味を知る人の記憶を手掛かりに、かつての看板メニューを「濱のビーフシチウ」の名で現代によみがえらせた。

 ビーフシチューは、2代目横浜駅(現在の市営地下鉄高島町駅付近)の近くで営業していた「濱屋食堂」が「都シチウ」として販売していた。食堂は島田橋やぶ社長の浜田太郎さん(46)、姉の増田菊子さん(49)の大伯父に当たる斎藤周蔵さんが1919年に開店。今年で創業100年を迎えた同店のルーツでもある。

 店の歴史を振り返る作業をしていた2011年に、創業時期の濱屋食堂の写真を発見。その店頭には「都シチウ」という看板が掛けられていた。そば専門店から新しいことも始めようとしていた時期とも重なり、太郎さんの妻の真由美さん(44)は「シチューを再現してみようということになった」と振り返る。


1921年ごろの「濱屋食堂」。店頭左側に「都シチウ」の看板が見える(島田橋やぶ提供)
1921年ごろの「濱屋食堂」。店頭左側に「都シチウ」の看板が見える(島田橋やぶ提供)

 同時期に店に迎え入れたホテルの元料理長を中心に開発に取り組んだが、レシピも写真もない。太郎さんと増田さんの祖母で大正生まれの、よしさん(17年に逝去)が試食し、その記憶を頼りに何度も作り直したという。約5年かけて商品化し、昨年末には持ち帰り用も導入した。増田さんは「子どものように手をかけたという思いがある」と笑顔で話す。

 「濱のビーフシチウ」の肉は、和牛の肩バラを5時間ほど煮てからオーブンでじっくり火を通すため、口に入れるとほろりと崩れる。シチューは何度もこして雑味を取るので、深いこくがあるのに重くない。ニンジンやマッシュルーム、ジャガイモなどの野菜は別に味付けをして合わせる。手間をかけ、仕込みから完成まで3日はかかるという。太郎さんは「全て手作業で、大手の店にはできない料理」と胸を張る。

 自慢の一品はリピーターも多いという。増田さんは「肉も軟らかく、安心な材料で作っている。シニア世代から小さい子どもまで多くの人に味わってもらえれば」と話す。

 「濱のビーフシチウ」はイートイン(サラダ付き)が1550円、持ち帰り・贈答用が1620円。問い合わせは、同店電話045(321)3250。


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