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女子BMXライダー・畠山紗英
【Roadto2020・KANAGAW】世界の8人へジャンプ 国内敵なしの若きホープ

スポーツ 神奈川新聞  2017年10月22日 10:24

世界選手権女子ジュニアの部で5位に入った畠山(右)=7月、米国(日本自転車競技連盟、猪俣健一さん提供)
世界選手権女子ジュニアの部で5位に入った畠山(右)=7月、米国(日本自転車競技連盟、猪俣健一さん提供)

 起伏に富んだオフロードを疾走する自転車BMX。若きホープが道を切り開くべく奮闘を続けている。7月の全日本選手権女子ジュニアの部で連覇を飾り、世界選手権では5位に入った畠山紗英(白鵬女子高3年)。18歳は世界を巡り、轍(わだち)を刻む。その先には日本勢がいまだ立ったことがない五輪の決勝レースを見ている。 
 国内に敵はいない。7月に静岡県伊豆市で行われた全日本選手権。本来のカテゴリーは高校年代の「女子ジュニア」だが、18歳以上で競うエリートクラスと混走し、並み居る年長者を引き離してフィニッシュを飾った。

 「次の目標はワールドカップ(W杯)など国際大会の決勝にいくこと。今、決勝の8人の中に入れたらすごい」。輝く視線は海の向こうへと向いている。


 BMXはトラック種目やロードレース、マウンテンバイクなど、数ある競技用自転車の中でも最もシンプルな構造だ。ただ、その簡素な車体で最速60キロを超えるスピードを出しながら、ジャンプ台やこぶといった障害を御さなければならない。

 彼我の差を分けるのは選手個人の力量だ。「ギアもないし、自分の体で制御しなければならないので機材の差はない。だから、面白い」。シンプルにして奥深い未舗装路。挑戦心をくすぐったのは4歳のころだった。


 物心つく前から補助輪なしで自転車に乗っていた少女は、兄の影響でBMXと出合う。ブレーキは知らない。2009年、わずか10歳で世界選手権の年代別クラスを制すと、12、13歳でも優勝。以来、当然のごとく同年代の世界の一線級と競ってきた。

 日本の頂を飛び越え、世界の冠たる存在へと飛躍せしめるのはジャンプの高さにある。勢いよく踏み切り、約10メートル先へ着地する。言葉にすればたやすいが、時速60キロ。スピード感は公道を走る自動車やバイクがそのまま飛ぶようなものだ。

 「女子だと怖がって挑戦しない人もいるけど、自分はなんでも挑戦する。小さい時から『怖いけどやる』みたいな感じだった」。わずか一瞬の跳躍一つ一つが世界への扉をこじ開けてきた。

 もっとも、練習環境は有り余る才能ほどは恵まれていない。県内には実戦に即したトレーニングが積めるコースがなく、近いところでも埼玉・秩父。本格的なコースを求めれば海外まで足を延ばさなければならない。平日は学校帰りにスポーツジムで筋力を蓄え、自宅近くの公道でBMXを走らせる程度だ。

 「(海外の国々は)コースの数が違う。学校が終わってからナイターで練習することもできる。日本にいたら週末の2日間しか乗れない」

 いまだメジャースポーツとしての地位は確立されていない。フリースタイルが五輪種目になり、言葉としての認知度は上がった。ただ、アクロバティックなイメージが先行し、レースの醍醐味(だいごみ)は十分に広まってはいない。

 「BMXはまだクルクル回るやつというイメージが強い」と畠山。自らが築いた轍の上に競技の未来がある。「期待される分、頑張らないといけない。(後輩たちが)同じように目指そうと思える存在になりたい」


 五輪まであと3年。今は映像越しの世界だ。「リオの決勝は応援がすごかった。それと普段なら勝てる選手が失敗して決勝にいなかった。何があるか分からない。プレッシャーなのかな」。華やかな夢に瞳はきらめく。

 来季からはエリートクラスに参戦する。W杯や世界選手権で実績を残すトップライダーとの戦いだ。「このままでは駄目。トップの集団に入れるように頑張っていかないと。3年はすぐだから」。日本人初の決勝レースへ。フルスピードで駆け抜けていく。

 

はたけやま・さえ 自転車BMX女子ジュニア強化指定選手。小谷小-旭が丘中-白鵬女子高3年。2009年の世界選手権ガールズ10歳クラス優勝を皮切りに、各カテゴリーで好成績をマーク。ワールドカップ(W杯)では5月にオランダで行われた第1戦で12位、第2戦は13位(女子ジュニアでは各2位、3位)で日本人女子最高の成績を残した。世界選手権では女子ジュニアで16年4位、17年5位入賞。レッドブルアスリートサポート選手。162センチ、60キロ。寒川町出身。18歳。

2020年東京五輪・パラリンピックを目指す神奈川ゆかりの選手を随時紹介します。


「3年はすぐ。もっと頑張らないと」と全速力で疾走を続ける
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