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時代の正体 日本人考(上)
多様性は既にある現実

時代の正体 神奈川新聞  2019年10月31日 11:34

 日本人と外国人の間に生まれ、「混血」「ハーフ」などの呼称で分類される人たちに着目した書籍が昨年、相次いで出版された。「国際的」といった画一的なイメージを持たれ、時に「異端」へのまなざしを向けられる当事者たち。両著はアプローチこそ違えど、差別の実態をあぶり出すと同時に日本人とは何かという問いを投げ掛ける。著者2人とハーフの幻想に苦しんだ女性の思いを通じ、この国の今を見つめたい。

「半分日本人」


「ハーフ」の研究は日本人とは何かという問いにつながったと話す下地ローレンス吉孝さん=横浜市
「ハーフ」の研究は日本人とは何かという問いにつながったと話す下地ローレンス吉孝さん=横浜市

 「何人(なにじん)?」「日本に来て何年?」。父母の一方が外国籍の白人系や黒人系の人らは、外見の「違い」からこんな質問を頻繁に受ける。「日本語、上手ですね」「日本人より日本人らしい」。外国人であることを前提にされ、会話が進められることも珍しくない。

 「こうした言葉を投げ掛けることは、『あなたは日本人ではない』と見なしているに等しい。いわゆる国民ではないとの扱いを受けることが、どれだけの精神的苦痛となるか」。昨年8月、「『混血』と『日本人』-ハーフ・ダブル・ミックスの社会史-」(青土社)を著した社会学者の下地ローレンス吉孝さん(32)はこう指摘する。

 かつては「混血」、今は「半分」が本来の意であるハーフという和製英語などで呼ばれる人らが、いかに差別を受けてきたか、また受け続けているか。本著は、冒頭の事例をはじめとした当事者の体験と豊富な資料によって、敗戦直後から現代にかけての排除の歴史を明らかにした。

 下地さん自身も「クオーター」という呼称で分類される一人。沖縄出身の祖母と米軍人の祖父のもとに生まれた母親は70歳近くになる今も、「日本人らしくない」という見た目だけで外国人扱いを受ける。

 「自分の歴史の一部を知ろう」と始まった研究は、「ハーフの人たちの生の声を伝えたい」との思いと自然に結び付いたという。大学院生の頃から50人を超える当事者に取材し、本著にはそのうち欧米や南米、アジアなど多様なバックグラウンドを持つ20代から50代の28人の声が載る。

 そこから浮かび上がってきたのは、ルーツの多様性に反し、彼ら彼女らが一様に生きづらさに直面している現実だった。

「つまらない」

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