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災害弱者、浸水した家に残された 事前避難への障壁

社会 共同通信  2019年10月29日 21:51

難病「筋萎縮性側索硬化症」の男性が台風19号で避難入院した病院=25日、福島県郡山市
難病「筋萎縮性側索硬化症」の男性が台風19号で避難入院した病院=25日、福島県郡山市

 台風19号による広域浸水では、多くの住民が家屋に取り残された。行政は事前避難を促したが、認知症や重度障害のある「災害弱者」にとってはさまざまな障壁があり、実際には難しいことが浮き彫りになった。配慮を必要とする人向けの福祉避難所の周知は進まず、独自に介護施設や病院で安全確保した人も。専門家は、個人ごとの避難計画づくりが重要だと指摘する。

◆認知症の妻

 「鉄砲水が襲ってきた」。阿武隈川の支流沿いに住む福島市の男性(77)は12日夜、急な浸水で自宅から出られなくなり、認知症の妻(79)と2階に逃げた。間もなく消防隊員に救助され、近くの中学校体育館に避難した。

 家にとどまった理由の一つは、急激な環境の変化に対応できない妻の認知症だ。時々大きな声を出し周囲を驚かせるため「できれば自宅にいたい」。市が福祉避難所を開設していたことも知らない。自宅に住んで51年、水害がなかったこともあり避難しなかった。

 午後11時ごろ到着した体育館では迷惑を掛けないよう隅で過ごした。妻が「なんでこんな所にいるのか」と怒り、事情を説明するやりとりを何度も繰り返した。

 翌日午前4時半ごろ帰宅。「自分だけなら気楽に避難できるが、妻からは目が離せない」。次の災害時は、車で約1時間かかる娘夫婦宅への避難を考えている。


◆慣れた環境


 福島県郡山市の60代女性は、当初から避難所利用を諦めていた。同い年の夫は若年性認知症。避難すればじっとしていられず、避難所から行方不明になる危険も。「災害弱者にとって避難生活はハードルが高すぎる」

 そこで身を寄せたのは、普段からデイサービスなどで使う市内の介護施設。12日夕、施設に「もしもの場合は避難させてほしい」と依頼。同日午後8時ごろ実際に避難し、自宅は床下浸水した。

 施設では、夫が介護保険のショートステイを使う形で、夫婦で個室に宿泊。女性は「雨はひどかったが、夫は慣れた職員と環境のおかげでぐっすり眠れた」と振り返る。

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