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社会と関わるユニークなアート 藤沢でアートイベント

カルチャー 神奈川新聞  2019年10月21日 19:49

越中の作品「穴からはじまったこと」の一場面
越中の作品「穴からはじまったこと」の一場面

 多様な表現方法を持つアーティストたちに制作の場と発表の機会を提供するプログラム「Artists in FAS(エファース) 2019」が、藤沢市アートスペース(同市辻堂神台)で開催中だ。公募で選出された4人のアーティストが、7月から9月にかけて滞在制作を行った成果を展示。藤沢でのアーティストの体験を通して、社会と関わるユニークなアートを堪能できる。

 同プログラムは藤沢市などの主催で2016年に始まり、今年で4回目。国内外から80件の応募があり、現代美術家の宮永愛子と写真家・著述家の港千尋による審査が行われた。

 江の島の岩屋洞窟をテーマにした映像作品「穴からはじまったこと」を発表するのは、横須賀市在住の越中正人(こしなか・まさひと)(40)。家族で訪れた際に気になり、題材に選んだという。

 江島神社発祥の地だった洞窟は、現在では観光施設としてにぎわう。越中は洞窟の近くで食堂を営む主人や同神社の宮司、ボランティアガイドらに洞窟内でインタビューした。


「洞窟自体が何なのかを理解するのが難しい」と話す越中正人 =いずれも藤沢市アートスペース
「洞窟自体が何なのかを理解するのが難しい」と話す越中正人 =いずれも藤沢市アートスペース

 それぞれの語りの中から信仰や歴史へのさまざまな視点が浮かび上がる。18年に新しく設置された竜の置物に関しては、制作者が全く意図していなかったにもかかわらず、手を合わせる観光客もいる。

 「いろんな掛け違いが見えてくるところが面白い。見る人には自分がこうだ、と思ったものをつかんでほしい。それによって自分の内なる信仰に気付くのではないか」と越中。

 「信仰の在り方は多様性につながる。グローバリズムといって多様化する世の中だが、マニュアルに沿うことを選ぶ人が多いことで、実は画一化が進んでいるのではないか」との危惧が作品作りの底流にある。

 横浜市都筑区在住の下大沢駿(26)はコンクリートを素材に、人工物と有機物の対比を表現。展示室から見える風景や、幼い頃に輝いて見えたという湘南台文化センターをテーマにした作品が並ぶ。

 都内在住の田中唯子(あいこ)(28)は報道写真や実風景を元に、紙や石こうに鉄さびで写し取る版画を制作。4階吹き抜けに展示されている巨大な和紙に刷った「海を見る」シリーズには、片瀬海岸の風景の中に難民が乗ったボートが描かれるなど、今、世界で起こっている事件を身近な暮らしの延長線上に取り込む。

 藤沢市内で生まれ育ち、現在はオーストラリア在住の国分想(こくぶ・はるか)(41)は、草木染によって地元と自らの心に寄り添う。町を歩いて採集した植物で染めたテントと旗が、心の中の小さな王国を表現している。


吹き抜けに並ぶ田中唯子の作品
吹き抜けに並ぶ田中唯子の作品

 都内在住の田中唯子(あいこ)(28)は報道写真や実風景を元に、紙や石こうに鉄さびで写し取る版画を制作。4階吹き抜けに展示されている巨大な和紙に刷った「海を見る」シリーズには、片瀬海岸の風景の中に難民が乗ったボートが描かれるなど、今、世界で起こっている事件を身近な暮らしの延長線上に取り込む。

 藤沢市内で生まれ育ち、現在はオーストラリア在住の国分想(こくぶ・はるか)(41)は、草木染によって地元と自らの心に寄り添う。町を歩いて採集した植物で染めたテントと旗が、心の中の小さな王国を表現している。

 11月10日まで。祝休日を除く月曜と10月15日、11月5日休館。入場無料。問い合わせは同アートスペース☎0466(30)1816。


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