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【問う】暮らしの現場から<「女性活躍」> 見栄えだけの登用

選挙 神奈川新聞  2017年10月16日 11:29

投票には必ず行っている。「どんな仕事をしているのかが見える人に一票を投じたい」=川崎市幸区
投票には必ず行っている。「どんな仕事をしているのかが見える人に一票を投じたい」=川崎市幸区

 安倍政権が看板の一つとするのが「女性活躍」だ。2016年の政策集には「すべての女性が輝く社会の実現」を掲げているが、派遣社員として働く藤沢市の女性(46)は、その言葉を冷めた目で眺めている。

 昨年まで、大手生命保険の子会社で10年近く事務職の契約社員として働いていた。部署の仕事を、担当者以外もこなせる「マルチスキル化」が求められ、仕事の内容は正社員と同じ。定期的に異動がある社員よりも、「長く在籍している分、非正規社員の方が仕事をよく把握していることもあった」という。社員の休職や産休などで人手が減っても補充はなく、3、4人の契約社員で部署内の仕事をこなすこともあった。
 

会社の方針


 その職場に、「女性活躍」の波がやってきた。入社10~15年の女性社員を、リーダーや主任といった役職に積極的に登用する方針を打ち出したのだ。

 職場には率先して役職に就きたいという人もいれば、そうでない人もいた。だが女性には、会社がそれを考慮せず「どんどん(女性社員が)偉くなるように仕向けていた」ように感じた。実際に、その波に乗らない女性社員が仕事を干されるケースもあったという。正当に評価して役職に就けるのではなく、「女性が活躍しているとアピールするためだけの『登用』に見えた」と話す。

 その影響は、契約社員にも降りかかってきた。

 役職に就くためには資格取得などの勉強が必要で、対象の女性社員はそこに時間を取られる。その分、「契約社員に仕事がたまってしまうことになった」。会社が女性社員の登用を強めれば強めるほど、女性らの負担はますます重くなった。

 同じ内容の仕事をして、同じ女性なのに、契約社員にはボーナスもなく、正社員への転換もない。休日をいつ取るかの調整で部署内がもめることもあった。その状況に疲れ、体調を崩したことを機に退職した。
 

政策実行を

 政権は「女性が指導的地位に占める割合を3割程度まで引き上げることを目指す」とする。だが女性は「その3割のために、前の職場は働きにくくなった」と振り返る。女性の活躍といえば聞こえはいいが、「男性の既得権益を守るために女性を使っている」ように思えてならなかった。

 前回の選挙では「同一労働同一賃金」という主張がよく聞こえた。だが、それが実行されることはなく、今回の選挙では全く聞こえてこない。「成果もなく、また次の能書きだけでは意味がない。『女性の登用』など見栄えだけのことではなく、次につながる政策」を求めたい。たとえ一つでも政策を実行してくれる候補者を選びたいと、日々考えを巡らせている。


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