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【台風19号】インフラ寸断、温泉打撃… 箱根に災禍再び

社会 神奈川新聞  2019年10月20日 03:00

臨時バスが運行するものの閑散とした強羅駅前=19日午後0時5分ごろ、箱根町
臨時バスが運行するものの閑散とした強羅駅前=19日午後0時5分ごろ、箱根町

 箱根町に観測史上最多の大雨をもたらした台風19号の通過から1週間。国内有数の観光地には、豪雨や土砂崩れによる鉄道・道路の寸断といった深い爪痕が残る。温泉を売りにする宿泊施設のダメージも深刻だ。「これから、という時に…」。箱根山の噴火警戒レベルが引き下げられた直後に再び直面した災禍。紅葉シーズンを目前に控え、関係者は落胆を隠せずにいる。

230施設で温泉止まる 箱根、観光に打撃

 「いたる所で道路が川のようになり、今まで見たことがない光景だった」

 芦ノ湖の東側。元箱根に住む男性(50)は、豪雨に見舞われた12日午後の様子に目を丸くする。湯本の早川沿いにある町役場にいた職員も、「バケツをひっくり返すよりすごい雨が続いて、ドンドンと川の水が護岸に当たる音が聞こえた」と振り返った。

 12日夜までの24時間雨量が942・5ミリに達し、国内最高記録を更新した箱根町。降り始めからの雨量は観測史上初の1千ミリを超え、誰も経験したことのない猛雨が町内各地に甚大な被害をもたらした。

 箱根温泉旅館ホテル協同組合によると、約40施設で浸水などの被害を確認。土砂が流れ込み休業を余儀なくされている旅館もある。町も住宅などを含めた被害の全容把握に務めているが、実態はつかみ切れていないのが実情だ。

復旧も手つかず


鉄道や道路が寸断された箱根町の地図
鉄道や道路が寸断された箱根町の地図

 箱根登山鉄道は土砂崩れで橋脚が流失するなどの被害が続出し、箱根湯本-強羅間の運休が続く。18日に代行バスが運行を始めたが、「被害状況の調査にまだ時間がかかる」(同社)とみられ、復旧工事には手も付けられない状況という。国道138号も一部で通行止めが続いており、生活や通学の足になる路線バスも折り返し運行などで対応している。

 観光の目玉への影響も深刻だ。大涌谷の温泉造成設備が損壊し、強羅や仙石原の一部で温泉供給がストップ。強羅駅近くで土産物店を営む男性は「登山鉄道と温泉が止まるダブルパンチ」と落胆する。秋の行楽シーズンの週末に比べ観光客数は10分の1ほどといい、19日も人影はまばらだった。

 箱根湯本駅からバスで強羅に訪れた女性会社員(40)=横浜市旭区=は「登山鉄道から見る景色を楽しみにしていたので残念」と話していた。

描いたにぎわい

 「朗報を受けて安堵(あんど)したのもつかの間、まさに自然の厳しさ、恐ろしさを思い知らされた」

 山口昇士町長が指摘する通り、台風の猛威は明るい兆しも吹き飛ばした。観光名所の大涌谷がある箱根山の噴火警戒レベルは7日に引き下げられたが、「黒たまご」の製造池などがある園地の再開日を決める会合は台風の影響で延期に。紅葉のピークに合わせた約5カ月ぶりのにぎわい復活を描いていたが、観光インフラの完全復活は見通せない事態に陥っている。

 それでも、大雨で氾濫した芦ノ湖の水位は下がり、遊覧船も運航を再開した。箱根湯本駅前の観光案内所には連日、交通状況などを問い合わせる電話が100件近くあるという。箱根DMO(町観光協会)は「紅葉はこれから1カ月楽しめるので、観光客が混乱なく回れるよう情報を発信していきたい」。穏やかな観光地の表情を取り戻すための奮闘が続いている。


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