
首位巨人に0・5ゲーム差まで肉薄し、21年ぶりのリーグ制覇も現実味を帯びてきた8月上旬。就任4年目のラミレス監督は、優勝争いをするチームにとって避けられないジレンマに陥っていた。
「その日勝つためにベストなラインアップを選んでいる。選手を育てるのも大切だが、同時に試合に勝たないといけない。その選別が大事になる」
4月の10連敗などで一時最下位に沈んだ絶望的な状況から巻き返し、圧倒的な戦力を誇る巨人を追っていた。昨年4位でクライマックスシリーズ(CS)進出を逃した指揮官は単年契約。ファンの期待を背負っていたとはいえ、目先の勝利を優先せざるを得ず、将来を見据えて新たな力を試す余裕はなかった。