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【シネマ散歩】
【蜜蜂と遠雷】若きピアニストの葛藤と成長

カルチャー 神奈川新聞  2019年10月04日 20:37

(C)2019 映画「蜜蜂と遠雷」製作委員会
(C)2019 映画「蜜蜂と遠雷」製作委員会

 4日から横浜ブルク13などで上映。

 日本で開催される国際ピアノコンクールを舞台に4人の若者たちの葛藤と成長を描き、直木賞と本屋大賞をダブル受賞した恩田陸の長編小説「蜜蜂と遠雷」。重厚な人間ドラマはコンパクトに整理されたが、文字による圧倒的な音楽描写が、目に見え、耳に聞こえる形となった。

 天才少女ともてはやされたが、母の死をきっかけに舞台から姿を消したピアニストの亜夜(松岡茉優=写真左上)。再起を懸けて参加したコンクールには、子どもの頃、亜矢と出会ってピアノを始めた米国の俊才マサル(森崎ウィン=同左下)、妻子との生活の中で最後のチャンスに懸ける明石(松坂桃李=同右上)、偉大なピアニストの最後の弟子として送り込まれた少年、塵(じん)(鈴鹿央士=同右下)がいた。

 亜夜や明石が抱える苦悩を丁寧に描き、見る者の共感を呼ぶ。音楽に真剣に向き合うからこそ生まれる不安や喜びを、音と映像で見事に表現した。

 やや物足りないのは、正規の音楽教育を受けていない塵がもたらす混乱ぶり。原作では審査員たちの思惑が飛び交い、亜夜たちも大きな影響を受けるのだが、さらりと描かれており、相互の関連性が薄れた感がある。

 現役の人気若手ピアニスト4人が、役柄に合わせて演奏しているのは大きな魅力。華麗なピアノが役者と一体となって作品を彩り、クラシックファンにはたまらない。

監督/石川慶
製作/日本、1時間59分


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