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宮本亞門インタビュー
現代人にも響く愛の物語を オペラ「蝶々夫人」上演へ

カルチャー 神奈川新聞  2019年10月04日 20:18

「楽譜と歌詞を変えることができないオペラに新しい演出をするのは大変だが、他のジャンルにはない壮大さと迫力がある」と語る宮本亞門。「堅苦しく考えず、自由に舞台を楽しんで」
「楽譜と歌詞を変えることができないオペラに新しい演出をするのは大変だが、他のジャンルにはない壮大さと迫力がある」と語る宮本亞門。「堅苦しく考えず、自由に舞台を楽しんで」

 東京二期会は13日、よこすか芸術劇場(横須賀市)で、プッチーニのオペラ「蝶々夫人」を上演する。デンマーク王立歌劇場などとの共同制作。演出を宮本亞門、指揮をアンドレア・バッティストーニ、衣装をデザイナーの高田賢三が手掛けることも話題だ。「世界のオペラファンも見たことがない新しい『蝶々夫人』を見せたい」と語る宮本に、演出へ込めた思いを聞いた。

 19世紀末の長崎を舞台に、米海軍の士官ピンカートンをいちずに愛した蝶々さんの姿を描く。短い結婚生活の後に帰国した彼が、米国人女性と結婚したことを知り、蝶々さんが自害する「悲恋の物語」として定着しているが「観客がつらさを感じるだけの作品にはしたくなかった」と語る宮本。自決のシーンでは音楽も盛り上がり、涙腺を刺激する局面ではあるが、この結末の描かれ方に違和感を感じていたという。「原作では、蝶々さんは日本のしきたりに縛られず、自由に生きたいと考えていた女性。魅力的なピンカートンと生き生きとした蝶々さんが運命的な出会いをし、真剣に愛し合ったということを軸にしようと思いました」。そんな宮本の思いは、二人の息子が成長した「青年」役として登場し両親を見守る演出や、新たな解釈を加えたラストシーンにも結実している。

 来年はドイツ、デンマーク、米国でも上演される同作品。「ステレオタイプな昔の日本を見せるのではなく、どの国の人が見ても心が震えるようなオペラにしたい」と意気込む。「たとえば1幕最後、恋する二人が歌う二重唱には、全てのものに祝福されているような喜びが表現されている。恋愛中の胸のときめきは世界共通のはず。そんな生の人間ドラマを見せたい」



 「ある晴れた日に」をはじめ、聴いているだけで感情があふれ出てくるような、ドラマチックなプッチーニの音楽。指揮のアンドレア・バッティストーニについては「イタリア人らしい感性で、オペラの世界観を豊かに表現してくれる。若く才能のある彼が本番にどんなパフォーマンスを見せてくれるか非常に楽しみ」と笑顔を見せる。高田賢三が担当する衣装にも注目だ。「賢三さんらしいカラフルな色合いが、半分夢のような、この作品に合うはず。アメリカに憧れていた蝶々さんらしく、和洋折衷の洋服も登場します」

 東京二期会のオペラでは「金閣寺」「魔笛」なども手掛けてきた宮本。「とても柔軟に作品に取り組んでいて、自由な雰囲気のいいカンパニーになってきている」と手応えを語る。「さまざまなエンターテインメントがある今、どんなオペラを見せていくべきなのか世界中の関係者が模索している。有名な作品というプレッシャーもあるが、現代の人々の心に響くものを届けられれば」

 よこすか芸術劇場、13日午後3時開演。S席1万3千円など。各プレイガイドで発売中。問い合わせは二期会チケットセンター☎03(3796)1831。


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