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音源でたどる100年の変遷 ビッグバンド大辞典出版

カルチャー 神奈川新聞  2019年10月04日 19:44

プロデューサーとして関わる今年の「横濱ジャズプロムナード」もビッグバンドを特集。「個性あふれるサウンドの聴き比べは楽しい。こちらもお見逃しなく」と話す柴田浩一
プロデューサーとして関わる今年の「横濱ジャズプロムナード」もビッグバンドを特集。「個性あふれるサウンドの聴き比べは楽しい。こちらもお見逃しなく」と話す柴田浩一

 横浜JAZZ協会や横濱ジャズプロムナードの立ち上げに携わり、横浜の音楽文化を市民レベルから盛り上げてきたジャズ研究家の柴田浩一(72)=横浜市南区=が、ビッグバンドジャズ100年の変遷を自ら収集した音源を基につづった「ビッグバンド大辞典」(愛育出版、2970円)を出版した。

 出来上がった本を見て誰よりも驚いたのは柴田本人。「表紙に踊る『大辞典』の文字。辞典とまではいかないから『事典』のつもりで書いていたので、全くの校正ミスでした。物事に完璧はないですよね」と苦笑する。音楽関係者や地元仲間ら約300人が集った出版記念会では、ちゃめっ気たっぷりにそんな失敗談を披露、実直な人柄をにじませ笑いを誘った。

 約350ページに及ぶ本編の前半は、1916年から2018年の間に録音されたビッグバンドの代表曲(録音日、バンド名、曲名、録音地)を時系列にまとめた一覧表だ。この記録に沿って、米ニューオーリンズ発祥のジャズがダンス音楽の隆盛とともに編成を大きくし、有能な編曲者を育て、洗練されていく様相を米国の社会的、音楽的背景を交え年代ごとに解説。長年のコレクションや執筆のために買い集めた音源を聴き比べ、それぞれの演奏を分析した。同じ曲でも編成や編曲によって異なるアンサンブルの妙や、時々のメンバーの個性も浮かび上がる。

 取り上げたバンドは約600、ミュージシャンはのべ1300人に及ぶ。黄金期を彩った編曲者、専属のコーラスグループにもスポットを当て、ジャズにまつわるミニコラムや用語解説、曲名別、バンド名別、人名別の索引も付けた。読み物としての面白さと資料的価値が同居する。

 「好きとか嫌いとかを排除して第三者的に書くよう務めた。それでも、敬愛するデューク・エリントンのことには力が入ったけどね」と柴田。9割方書き上げているという次作は、エリントンの魅力に迫るCDサイズのガイドブック。病と闘いながらの執筆が続くが、「グレン・ミラーやカウント・ベイシー、ベニー・グッドマンもやりたい。まだまだ書きたいことはたくさんある。頑張りますよ」と、意欲は尽きない。


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