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【シネマ散歩】
【ホテル・ムンバイ】誇りをかけて宿泊客守る

カルチャー 神奈川新聞  2019年09月27日 19:20


 27日からTOHOシネマズららぽーと横浜などで上映。

 2008年11月、インド・ムンバイで、イスラム過激派組織による同時多発テロが発生。街は大混乱に陥り、高級ホテルのタージマハル・パレス・ホテルもテロリストに占拠される。約60時間にわたって500人以上の宿泊客らがホテルに閉じ込められ、32人が犠牲になったが、その半数は宿泊客を守るため、ホテルに残った従業員だった。生存者らへの徹底的な取材を基に、ホテルでの出来事を描く。

 逃げることもできたはずの従業員たちだが、宿泊客のために団結。ホテルで働くことに誇りを持つアルジュン(デブ・パテル)=写真=も、宿泊客たちを安全な場所へと誘導する。宿泊客の中には、ターバンとひげの姿に不安を隠さない老婦人も。彼はシーク教徒としての装いについて丁寧に説明し、偏見を取り除いていく。民族や宗教を超えた相互理解の大切さを伝えたいという製作陣の思いを感じさせる。

 若い犯人たちは、姿の見えない首謀者の指示をイヤホンで受けながら虐殺を行う。彼らの幼さ、祖国や家族への思いも描かれ、今も世界中で続くテロの構造について考えさせられる。

 リアリティーを追求した映像は、まるでその場にいるような緊張感を伝える。不気味な静寂の中、突然鳴り響く銃声や爆発音に脂汗がにじむ。ラストシーンに流れるニュース映像に、人間の温かさと希望の光が感じられた。

監督/アンソニー・マラス 
製作/オーストラリア、米、インド、2時間3分


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