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県内タクシー、来月値上げ 初乗り500円見送り

経済 神奈川新聞  2019年09月26日 05:00

 10月1日の消費増税で、県内を走るタクシーの初乗り運賃が10円値上がり740円になることが分かった。県西部を除く地域の事業者は国土交通省に対し、初乗りを500円程度に引き下げる一方、全体的には値上げする運賃改定を求めていたが、実現しなかった。土壇場になって認可が見送られた形で、増収を見込んでいた事業者からは困惑の声が上がる。

要望かなわず業界困惑

 運賃改定を要望していたのは、横浜や川崎、横須賀市の「京浜交通圏」と、相模原や藤沢市などの「県央・湘南交通圏」の事業者。初乗りをワンコインに値下げして利用者の裾野を広げるとともに、運賃の加算ペースを早めて収益構造を改善する計画だった。

 タクシー業界は、利用者の減少や規制緩和による供給過剰で苦境に立たされている。

 県タクシー協会(横浜市中区)の幹部は「増収分は遅れがちだった設備投資に回し、キャッシュレス決済機器をはじめ、障害者や高齢者が乗車しやすいユニバーサルデザインタクシーの導入に充てるのが各社の方針だった」と話す。

 消費増税と合わせた運賃改定の動きは、県内にとどまらず全国各地でも進められ、業界内では半ば「既定路線」とみられていた。

 しかし、8月30日に開かれた関係閣僚会議で事態は急転した。消費増税と同時期の運賃改定について複数の省庁が異論を示し、国交省は認可の見送りを決断。改定の是非を継続して審査するとの立場に傾いた。

 協会幹部は「『便乗値上げ』と捉えられ、ノーを突き付けられた。消費を冷え込ませる材料は極力排除したいという政府の思惑があるのだろう」とみる。

 全国ハイヤー・タクシー連合会は運賃改定が不可欠だとして、国交省に申し入れ書を提出。県タクシー協会なども20日、関東運輸局長に同様の書面を手渡したが、今後の見通しは立っていない。

 運賃体系が変わると、メーターの改修費用が1台につき2万円ほどかかる。運賃改定が消費増税のタイミングとずれると、2度の負担が発生することになり、中小の事業者にとってはダメージが大きい。消費者心理の冷え込みによる乗り控えも懸念される。

 協会幹部は「引き続き利用者に運賃改定の周知を図るが、ただただ待つしかないのが現状」とこぼす。関東運輸局の担当者は「増税後の状況を注視し、判断を急ぎたい」としている。


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