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検証 福田市政~17年市長選(1)転換 子育て公約増す負担

選挙 神奈川新聞  2017年10月03日 10:13

生徒や保護者らに好評な中学校給食=東橘中学校
生徒や保護者らに好評な中学校給食=東橘中学校

 「(一括調理する)センター方式で大丈夫かとの声もあったが、本当に温かくておいしかった。子どもたちの笑顔がうれしかった」

 川崎市南部学校給食センター(幸区)が本格稼働し中学校22校で給食が始まった9月4日。市立富士見中学校(川崎区)を視察した福田紀彦市長は、生徒らと一緒に昼食を取った後に満足げな表情を見せた。

 12月には中部、北部のセンターも稼働し、前回市長選の公約通り全52校での実施となる。「(2013年11月の)就任翌月に推進会議を設置し、スピード感を持って進めてきた。多くの人の協力で質の高いものができたことは感慨深い」。市長は胸を張った。

 同市の中学校給食は、11年3月に市議会が「早期実現を求める決議」を可決したが、3期12年務めた阿部孝夫前市長が「食育は家庭が基本」と反対してきた。市長交代を機に転換した政策であり、福田市政の実績の一つといえる。

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 行財政改革を断行し財政危機を乗り切った阿部前市長が「法律や行政を誰よりも熟知した官僚出身市長」(市幹部)ならば、福田は「市民の声に丁寧に耳を傾ける政治家市長」(同)-。そんな庁内評がある。

 子育て施策の充実は、若い共働き夫婦の流入が続き、150万人を突破した同市では市民要望の高い政策だ。その意味では、全国で既に8割以上の自治体が実施していた中学校給食や、県内最多だった待機児童数の解消は「他都市に追いつかなければならない分野」(福田氏)だった。

 「地域で子どもを産み育てやすい環境をしっかりつくり上げる」。就任間もない福田市長の号令で待機児童対策にもアクセルがかかる。認可保育所の受け入れ枠の大幅な拡大に加え、市独自の認定保育園の活用を促すため保育料補助も増額し保護者負担を軽減した。区役所には担当職員を増員し、きめ細かいマッチングに努めた。

 この結果、待機児童数は国の基準で15年4月、17年4月にゼロを達成。厚生労働省は「区役所のアフターフォロー」を先進例と高く評価し、市の担当者は全国自治体の担当者会議での報告を依頼された。

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 ただ、待機児童解消や中学校給食、小児通院医療費の助成拡充といった公約実行に伴う財政負担は決して小さくない。

 扶助費の中身について就任前の13年度決算と直近の17年度予算を比べると、生活保護費は19億円増、社会福祉費は33億円増に対し、児童福祉費は278億円増と際立つ。中学校給食は学校給食センター整備運営に関わる費用などが18年度から毎年22億円ずつかかる。

 福田市長の任期最後となる市議会9月定例会の本会議でも厳しい指摘が飛んだ。自民党の原典之氏(中原区)は「待機児童対策の事業費は4年間で1660億円、中学校給食446億円と合わせて2千億円。公約の実現に傾注された結果、後年度負担は必至だ。スクラップ・アンド・ビルドはどこに消えてしまったのか」とただした。

 新規事業を行う財源を捻出するための事業見直しがない-。公約を実行してきた福田市長に市議会が繰り返してきた苦言でもある。

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 川崎市長選(8日告示、22日投開票)は福田市長1期目の評価が最大の争点でもある。4年間の市政運営を検証する。


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