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「戦前の教科書と類似」 育鵬社選ぶ市教委を問題視

社会 神奈川新聞  2019年09月22日 05:00

 来夏の中学校教科書採択に向けた市民集会「もうこれ以上『つくる会』系教科書を子どもたちに押しつけてはならない」が20日夜、横浜市内で開かれた。教育現場の評価が低いにもかかわらず、歴史認識を巡り賛否が割れるいわゆる「つくる会」系(自由社、育鵬社)の歴史・公民教科書の採択を続ける横浜市教育委員会の異例な対応を問題視。育鵬社教科書と戦前の国定教科書の共通点を指摘する講演に約60人が耳を傾けた。 

来夏採択向け横浜で集会


育鵬社の社会科教科書と戦前の国定教科書の共通点を指摘する佐藤東京家政学院大教授=横浜市中区の市開港記念会館
育鵬社の社会科教科書と戦前の国定教科書の共通点を指摘する佐藤東京家政学院大教授=横浜市中区の市開港記念会館

 同市教委は、2009年に市内8区で自由社の歴史教科書を採択したことを皮切りに、11、15、19年と育鵬社の歴史・公民教科書を選定してきた。いずれも既存の歴史教科書を「自虐史観」と批判する「新しい歴史教科書をつくる会」を源流とする教科書だ。

 この日の集会は、20年8月の採択に向け、こうした現状に危機感を抱く市民団体「横浜教科書問題市民・有識者会議」が主催。東京家政学院大の佐藤広美教授が「育鵬社教科書は子どもたちをどこに導くか」をテーマに講演した。

 佐藤教授は、大日本帝国憲法発布を「歓迎」した社会の描写や、アジア太平洋戦争での日本軍の「快進撃」についての記述を取り上げ、「育鵬社と戦前の国史の教科書はよく似ている」と指摘。育鵬社の情緒的な文面についても「ファシズムは語りから忍び込む。これは教科書としてまずい」と警鐘を鳴らした。

 さらに、アジア諸国が「英・米・蘭の勝手な振る舞いから日本の救いを待っていた」「進んで大東亜の建設に協力した」と書いた国定教科書の使用について「アジアには見せられない」とした上で、「反省して今日の教科書をつくることが大切だ」と力を込めた。

 鶴見大の後藤仁敏名誉教授は同市教委の採択経緯を解説。学校現場の声を吸い上げる機会を廃止した上、無記名投票や教科書名を伏せた審議などの「異常」な対応が続いてきたと非難した。その上で、09年の採択では社会科のみ教科書取扱審議会の答申を無視して自由社を採択したとし、「いよいよ来年、採択があり、注目して見守る。育鵬社を二度と横浜の子に押しつけたくない」と訴えた。


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