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自転車記者が行く・「メキシコ愛」あふれ

話題 神奈川新聞  2016年09月26日 14:10

現地で買い付けてきたメキシコの品々に囲まれる沼崎さん=セレクトショップちゃぷる
現地で買い付けてきたメキシコの品々に囲まれる沼崎さん=セレクトショップちゃぷる

 〈小さなメキシコあります〉
 川崎市高津区の溝の口駅近くで見つけた看板。よく通る道なのに、初めて気が付いた。屋根にはメキシコ国旗が飾られている。ウインドーからカラフルな雑貨やアクセサリーが見えた。メキシコ料理店はあれど、雑貨屋はあまりなじみがない。気になる。

 「セレクトショップちゃぷる」に入ると、穏やかな雰囲気の店長、沼崎和人さん(66)が現れた。少し驚いたような、でも待ってましたとばかりのうれしそうな表情だ。「いらっしゃい。メキシコとは何か関わりがあるの? 行ったことがあるとか」。残念ながら行ったことはないが、興味があって…。遠慮がちに答えると、ならばとばかりに解説が始まった。

 「この洋服の刺しゅうは先住民が縫ったもの。日本でいう着物みたいな感じで、普段着ている人は少ないけど」「この木彫りも先住民が作ったもの。動物をモチーフにしていて、ある村では工房が40~50軒並んでいて…」。自ら現地で買い付けた商品を次々と持ってきては、かの地の情景まで浮かぶ語り口で事細かに教えてくれる。「11月には死者の日があって、こういう骸骨の飾りを置く。骸骨は日本では怖がられるけど、メキシコの子どもには愛されているんですよ」。15回訪れているだけあって、文化にも詳しい。商売人というより、観光ガイドみたいだ。

 店がオープンしたのは5年前。その少し前、長女(40)がメキシコ人男性と結婚したことがきっかけだった。日本で生活していけるよう、娘夫婦と共に店を始め、今は沼崎さんが引き継いでいる。店名の「ちゃぷる(Chapul)」はお婿さんの名字だ。

 サボテンがあって、殺風景で、と漠然と抱いていたメキシコのイメージは訪れてみて変わった。「ヨーロッパ調の建物が並び、都会的な部分もある。一方で戦後の日本みたいな、今でいう上野のアメ横みたいな雰囲気も広がっていて楽しい。一度行けば病みつきになる」

 そんな「メキシコ愛」に引かれてか、店にはメキシコ人をはじめ、旅行経験がある人やこれから行く人が訪れ、現地の話で盛り上がる。メキシコ国籍を持つ川崎市民は現在44人。「せっかく来てくれたのだから」とウエスタンハットを頂いたものの、コーディネートに悩む記者にアドバイスしてくれる友人も、つくれたらいいな。

 2013年春まで横浜を疾走していた「自転車記者」が今度は川崎を走り回ります。佐藤将人と塩山麻美が担当します。歴史ある店、面白い人、変わった人、街の不思議…。何でも結構ですので情報提供、大歓迎。連絡先を明記の上、ファクス044(211)0555まで。


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