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「幻の里芋」出荷量3倍に 担い手農家も30人超え 開成町

話題 神奈川新聞  2017年09月29日 16:17

開成弥一芋入りのカレーを手に取る出席者ら=開成町吉田島
開成弥一芋入りのカレーを手に取る出席者ら=開成町吉田島

 「幻の里芋」として知られる開成町ゆかりの「開成弥一(やいち)芋」が、ことしも出荷シーズンを迎えた。初めて市場に出した2011年の3倍に当たる約15トンを、県内の商業施設などに出荷できる見通しだ。10人に満たなかった担い手の農家も30人を超え、関係者は「サトイモの質を保ち続け、今後もさらに出荷量を増やしたい」と意気込んでいる。

 弥一芋は、1903年に同町金井島出身の農家、高井弥一郎が小田原市の寺の住職から譲り受けた種芋が起源とされる。粘り気が強い食感や甘みが評判を呼び、戦前には関東一円に広がったとも言われる。ただ、戦後は稲作に押されて流通が途絶え、いつしか「幻の里芋」と言われるようになった。

 転機は、生産農家が7人となった2010年。生産者ではないが、地元で農業を営む遠藤将光さん(85)が「しっとりと粘り気のある弥一芋のおいしさを、もう一度、知ってもらいたい」と市場への出荷を視野に一念発起した。

 元来のおいしさを復活させるため、県農業技術センター(平塚市上吉沢)が保存していた種芋を譲り受けて試作。翌11年に農家13人で研究会を結成した。13年には町や農協、流通大手なども加わって「ブランド化推進協議会」を立ち上げ、本格的に生産振興や販売に取り組み始めた。

 推進協は生産量を増やすため、弥一芋の栽培を受け付ける休耕田とその担い手の確保に尽力。結果、作付面積は研究会発足時の11年の5倍となる約1・1ヘクタールまで広がった。また生産農家も30~80代の35人と、同じく5倍に膨らみ、研究会の武藤忠治会長(74)は「稲作の5倍稼げる収入を目当てに、若い世代も参加してくれるようになった」と喜ぶ。

 28日にJAかながわ西湘開成事業所(同町吉田島)で行われたことしの初出荷式では、約200キロが町内のスーパー2店舗の店頭に並んだ。「6、7月が少雨で、8月の日照時間が少なかったが、出荷にちょうどいいサイズのものがそろった」と武藤会長。弥一芋を煮込んだカレーを試食した出席者からは「程よい粘り」「甘みがあっておいしい」と声が上がった。


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