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お伊勢参りへ徒歩20日間 伊勢山皇大神宮150年祝い

話題 神奈川新聞  2019年09月16日 14:07

お伊勢参りで使うのぼりを持つ宮内さん(左)とはっぴを着る藤野さん=横浜市西区
お伊勢参りで使うのぼりを持つ宮内さん(左)とはっぴを着る藤野さん=横浜市西区

 伊勢山皇大神宮(横浜市西区)が2020年5月に、明治初期の創建から150年を迎える。節目を祝う事業の皮切りとして21日から、伊勢神宮(三重県伊勢市)に参拝する「お伊勢参り」を行い、神職や氏子ら約30人が20日間かけて、約480キロの道のりを徒歩で進む。江戸時代に庶民が「一生に1度は行きたい」と願ったという伊勢参りは、伊勢山皇大神宮の創建時も盛んに行われ、同神宮総務課長の宮内孝さんは「当時の人々に思いをはせたい」と抱負を語る。奉祝事業は今後、正史をまとめた記念誌の発行なども計画している。

 同神宮は、日本一の貿易港があった横浜が、文明開化の最先端の地として急激に発展を遂げていた1870(明治3)年5月15日(旧暦4月15日)に創建された。当時の井関盛良県知事が「人々の心のよりどころ」として、横浜・戸部に立地していた伊勢神宮の分霊をいただく古社を再興し、港を一望する丘に移した上で県の総氏神としたという。

 それから150年。奉祝事業の先駆けとして伊勢参りを企画した。一行は伊勢山皇大神宮での神事を経て、そろいのはっぴ姿で東海道を歩き、10月11日の伊勢神宮内宮到着を目指す。氏子らは車が伴走した上で安全な道を進み、神職らは旧東海道の厳しい道のりも歩く。

 宮内さんは「お伊勢参りは、当時の人々が『伊勢講』という仲間集団をつくり、旅費を積み立てることまでしたあこがれの存在。全てを当時と同じようにはできないが、創建時を体験できるのでは」と笑顔で語る。

 伊勢参り後も奉祝事業を計画している。伊勢山皇大神宮の創建時には、街を挙げて5日間にわたって盛大な祝祭が行われた。当時、隆盛を極めた生糸商人たちが費用を出し合い、総額は当時の外務省の半年分の予算額にも匹敵したという15万両(約20億円)に上り、「日本一の祭り」として広く知られたという。今回、こうした祝祭に思いをはせ、20年5月の週末に、みなとみらい21(MM21)地区でみこしの渡御(とぎょ)とやぶさめを計画する。

 また、関東大震災や横浜大空襲で資料が焼失し、これまで正式にまとめられることがなかった歴史を記念誌として発行する。県内の資料は失われたが、生糸商人らが故郷の北関東などに送った手紙が現地に残されており、創建時の姿や「関東のお伊勢さま」として人々に親しまれたことが記録されている。これらの資料などをもとに正史をまとめる。このほか奉祝事業を記録する記念誌も発行する予定だ。

 正史を編集する祭儀課の藤野唯史さんは「戦前は県の守り神として、戦後は人生儀礼を行う『はまっこの社』として発展し、横浜の歴史や社会そのものと密接に関わっていた」と振り返り、「現在は、それらの物語が忘れ去られようとしている。記念のときに正史をまとめることで、伊勢山皇大神宮への関心や親しみを皆さんに抱いてもらえれば」と話している。


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