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[Artists in FAS 2017]感じたままを形に 藤沢市アートスペース

カルチャー 神奈川新聞  2017年09月20日 16:53

構想メモを背にした生川珠央
構想メモを背にした生川珠央

 全国公募で入選したアーティストに創作と発表の場を提供するアーティスト・イン・レジデンス・プログラム「Artists in FAS 2017」が、藤沢市アートスペースFAS(エファース、同市辻堂神台)で行われており、同所での滞在制作の成果を展示中だ。アーティストたちは藤沢で感じたものを、多様に訴えかけている。

 アーティスト・イン・レジデンスとは、アーティストが特定の場所に一定期間滞在しながら創作活動を行うことで、エファースでの公募による取り組みは昨年に続き2回目となる。

 全国から125件の応募があり、アーティストの栗林隆ら外部審査員による審査で入選した3人が、7月から9月3日まで滞在制作を行った。

 相模原市南区在住で女子美大大学院に在籍中の伊藤夏実(24)は、目に見えない重力や張力を取り上げる。

 「体調を崩しやすく、具合が悪いといつもより5倍くらい体が重く感じる。中高生の頃から、こうした自分の感覚が果たして他人と同じなのか気になっていた」という。

 こうした客観的に示しにくい感覚の差を形にしようと試みる。例えば、階段状の白い木枠を重ね、鉄の重りを先につけたキャンバス地のヒモを木枠の空間を通して床に垂らす。ぴんと張ったものもあれば、だらりとしたものもある。

 張力が緩むと日によってずれていくが、それを赤色でマーカーし、ずれが目に見えるようにした。それは日々感じ取った伊藤の感覚そのものでもある。「普段考えていることを作品にすることで、一つずつ整理する気持ち」と話した。

 横浜市中区在住の瀬川祐美子(27)は、人の感情が環境や他人の感情でどのように変化するのかに興味を抱いている。今回は藤沢市で感じた自らの孤独感を、色の違いがはっきりした抽象画と人の頭部をかたどった立体作品をつり下げた空間全体で表現した。

 「(最寄りの)辻堂駅で降りたのも初めて。広々とした空間が知らない国に来たようだった。周りは明るい中で少し寂しさがあり、一人で浮遊している感覚。見る人が『私もこういう気持ちになるのかも』と問いかけ、共感できるような作品にしたい」と語る。

 英国在住の生川(なるかわ)珠央(30)は「言葉で伝えようとするには限界がある。伝えきれない隙間を手の動きなどで無意識に埋めようとしているのではないか」との思いから、言語に頼らない映像による表現に取り組む。

 盆踊りイベント「遊行の盆」の他、スポーツや趣味などに取り組む地域の団体を取材。弓道や太極拳、手品などからインスピレーションを受けた動きをもとに振り付けたパフォーマンスを撮影し作品化した。

 「言葉にできるもので成立している世の中は、果たして幸せなのだろうか。無意味なものへの注目が大切なのではないか、それを自分が知りたいから作品を作っている」と話した。

※11月5日まで。祝日を除く月曜と9月19日、10月10日休館。入場無料。同プログラムで8HOTEL賞を受賞したO.Sujinの作品は同ホテル(藤沢市)で展示。問い合わせはエファース電話0466(30)1816。


重力や張力の目に見えない蓄積に挑む伊藤夏実
重力や張力の目に見えない蓄積に挑む伊藤夏実

まだまだ変わるという制作途中の作品を背にした瀬川祐美子=いずれも藤沢市アートスペースFAS
まだまだ変わるという制作途中の作品を背にした瀬川祐美子=いずれも藤沢市アートスペースFAS

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