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時代の正体〈520〉声上げることが最後の砦 安保法成立2年(上)

時代の正体 神奈川新聞  2017年09月19日 02:47

安全保障関連法が強行採決された2年前の国会正門前=2015年9月19日午前2時20分ごろ、東京・千代
安全保障関連法が強行採決された2年前の国会正門前=2015年9月19日午前2時20分ごろ、東京・千代

【時代の正体取材班=田崎 基】安全保障関連法が成立し、19日で丸2年。「東アジアの安全保障環境は厳しさを増している」と安倍晋三首相は力説し、数々の手続きをすっ飛ばして強行採決した。しかしいま目の前にあるのは、米国と一体となった安全保障体制を強化すればするほど、日本が脅威にさらされるという不条理の奈落だ。

 安倍首相は繰り返し強調していた。

 「あらゆる事態に切れ目のない対応ができるよう、しっかりとした備えを行う」「戦争を未然に防止し、地域の平和と安定を確固たるものとする」

 あたかも安保法制を成立させれば日本をとりまく安全保障環境が改善するかのような説明をしていたが、この2年間の現実はどうだ。北朝鮮はミサイル開発を進め、発射実験を繰り返し、米朝関係は緊迫する一方だ。

 政府は今年4月、全国の自治体に「ミサイル避難訓練」を実施するよう通知した。自治体は一般市民を集め「北朝鮮からミサイルが飛んでくる」「頭を抱えてしゃがみ込め」と無自覚に訓練を始めた。

 北朝鮮がミサイル発射実験を行った8月29日、9月15日。政府は2度とも、南は長野や栃木県、北は北海道までの12道県にJアラート(全国瞬時警報システム)を発報した。新幹線は止まり、一部の小中学校が始業時間を遅らせ、テレビでは、落下地点から2千キロ余り離れた根室港でヘルメットをかぶりマイクを握る記者の姿を映し出す。

 東日本の大半を網羅する広範囲にJアラートを発したが、安倍首相は直後の会見で2度ともこう繰り返した。

 「発射直後から、ミサイルの動きを完全に把握し、万全の態勢を取っていた」


北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、取材に応じる安倍首相=8月29日午前7時57分、首相官邸(共同)
北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、取材に応じる安倍首相=8月29日午前7時57分、首相官邸(共同)

 実際にミサイル攻撃を受ければ日本が取り得る有効な軍事行動はなく、撃たれれば避けようがない。

 現実と乖離(かいり)した空虚で勇ましい言葉を発する欺瞞(ぎまん)。脅威を正確に説明せず、しかし不確かな情報で危機感をあおる姿に、政権の矛盾への自覚を見る。

 想像を絶するこの不条理に国民が直面していることと、2年前の安保法制の強行採決とは、決して無縁ではない。

歯止めなき暴走


 ことし8月15日、現職の外務副大臣である元自衛官の佐藤正久氏は北朝鮮が米国・グアムへのミサイル発射を示唆したことを受け、保守系団体の集会でこう言い放った。

 「北朝鮮から日本の上空を飛び越えてグアムの方へ(ミサイルが)行く。そういうとき、日本の自衛隊は本当に撃ち落とさなくていいのか。日米同盟の真価が問われている。(中略)もしも日本の上空を飛び越え(日本が)撃ち落とせるのに撃ち落とさず、グアムに被害が出たら、日米同盟はどうなると思うか」

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