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新時代の“奴振り”披露へ 代替わりの松田大名行列

話題 神奈川新聞  2019年08月22日 05:00

奴振りを練習する保存会員ら=松田町立体育館
奴振りを練習する保存会員ら=松田町立体育館

 松田町無形文化財で、奴(やっこ)(江戸時代の武家の使用人)が行う独特の所作「奴振り」で知られる「松田大名行列」の保存会が、役員を大幅に代替わりさせた。伝統を守りつつも新時代にふさわしい奴振りを披露しようと、“初舞台”となる24日の「まつだ観光まつり」に向け練習に励んでいる。

 奴振りは各地にあり、江戸時代に小田原でも伝えられてきた。明治の廃藩置県で旧小田原藩主が東京へ移る際、松田の住民が「地元の寒田神社の祭礼に入れる形で、奴振りを後世に残したい」と技を習得したのが、松田での始まりとされる。昭和初期には箱根に伝わり、今の「箱根大名行列」につながっているという。

 1970年代からは保存会が担い手となってきたが、近年は人口減に加えて活動の中心となる若い商店主らも減少。奴行列の編成に必要な15人を集められず、町職員で補うこともあるなど、担い手不足が大きな課題となっている。

 「保存会をつぶすかどうかというところまで話し合った」というのは、5月の総会で新会長に選出された長谷川聡さん(40)。会長を7年務めた渡辺興治郎さん(78)の引退に伴って開催された役員会では、後任のなり手がなく、会の存続までもが議題となったという。

 そんな中で名乗りを上げたのが長谷川さんだった。松田町商工青年会で奴振りに関わり、「次世代につなげたい」との思いからだった。「新会長がやりやすい環境を」と60~70代の指導陣も身を引いた。代わって長谷川さんと同年代の約10人が指導陣を引き継ぐことになり、役員は一気に若返った。

 世代交代を機に、指導方法も見直した。これまではストイックなため一部で敬遠されていたというが、「祭りは楽しいもの」をコンセプトに。一方で「先人たちが伝えてきた技へのこだわりに妥協はない」と長谷川さんは強調する。

 次世代への継承にも力を入れる。祭りに向け、小学生向けの教室を実施。出前授業で呼び掛けたり、知人を通じて集めたりした中学生と練習に励んだことで、今回は3年ぶりに中学生の奴行列も復活する。

 大名行列は「子どもからお年寄りまで一緒に楽しめる唯一の行事」と長谷川さん。「いつか、町外の出身者が祭りの季節に戻ってくるような行事になれば」

 24日の祭りでは午後4時20分に町立松田小学校を出発する。祭りの問い合わせは、町観光協会電話0465(85)3130。


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