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基地アーカイブ(2012年2月)
米国の基地を歩く(7)拠点ハワイ「昔は平和な島だった

社会 神奈川新聞  2019年08月21日 03:44

母港の真珠湾に停泊するイージス駆逐艦オケイン=2012年1月、ハワイ・オアフ島
母港の真珠湾に停泊するイージス駆逐艦オケイン=2012年1月、ハワイ・オアフ島

 ハワイ州オアフ島の真珠湾(パールハーバー)の一帯は広大な海軍基地だ。1941年12月に旧日本軍の襲撃を受けて沈んだ戦艦アリゾナの記念館も、基地の内部にある。敷地内に残る歴史的建造物は、年間150万人の来客を集める。

 ハワイ州にとって軍事は、観光に次ぐ主力産業だ。太平洋の戦略的な位置にあり、インフラも整っている。真珠湾にある海軍の造船所は5千人の雇用を生む。州内の軍事関連支出は122億ドル(2009年現在)。州全体の総支出の18%に達した。

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 だが、連邦政府の予算制約はこの島々にも影響をもたらす。国防総省は13会計年度(12年10月~13年9月)から5年間で約2600億ドル(約20兆円)の予算削減に踏み切る方針だ。

 地元産業界には懸念が拭えない。

 「ハワイでの国防支出が減る可能性は大変心配。だがアジア太平洋は米国の戦略の焦点」。ハワイ商工会議所のチャーリー・オオタ副会頭は、「削減が最小限にとどまることを望んでいる」と話す。


ハワイ州オアフ島の米海兵隊カネオヘ基地
ハワイ州オアフ島の米海兵隊カネオヘ基地

 太平洋重視戦略が、基地周辺の環境維持との間で難しいバランスを求められる実情は、ハワイでも例外ではない。

 海兵隊は次期主力の兵員輸送機、MV22オスプレイ24機を、2015年からハワイ州オアフ島にあるカネオヘ基地に配備する計画を立てている。

 固定翼機とヘリコプターを合体させたような機体で、垂直離着陸ができる。海兵隊は「空地部隊のヘリコプター部隊がハワイに少なく、米本土などからの展開で補っているので、是正する」と、配備の必要性を説明している。

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 米国では国家環境政策法(NEPA)に基づく影響評価が基地にも適用される。昨秋に影響評価の準備書が公表された。今夏までの手続き完了を目指す。

 基地の近くには住宅地が広がる。昨秋に地元で公聴会が開かれた。航空機が増えることで騒音への懸念も上がったという。

 「オスプレイは静かで高性能。説明すれば配備への理解は得られると思う」。米太平洋海兵隊副司令官のロナルド・バズカウスキー准将が強調する。

 それでも平和活動グループのメンバー、テリ・ケコオラニさんは「市街地の上を飛べば危険が増すことに変わりはない」と話す。

 「そもそもハワイは米国に併合される前は、平和な島々だった。カネオヘの近隣も、昔は先住民にとっては海水と真水が混じり合う大事な養魚池だったのに」

 18世紀に先住民が王国を誕生させたハワイだったが、その地政学的な重要性に着目した米政府によって19世紀に併合される。1959年に合衆国50番目の州になるまで、島々の軍事拠点化が進んでいった。

※登場人物の肩書きは取材当時のものです。


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