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平和の味かみしめ「防空壕きくらげ」 麻生で栽培、販売

話題 神奈川新聞  2019年08月14日 20:29

防空壕内でキクラゲを栽培する小山さん=川崎市麻生区栗木

 戦時中に防空壕(ごう)として使われた川崎市麻生区栗木の洞穴で、キクラゲが栽培されている。「防空壕きくらげ」と銘打ち、市内の農産物直売所などで販売。物珍しさもあり売れ行きは好調だ。栽培を手がける小山仁美さん(51)は、命名の理由をこう話す。「戦争を知らない子どもたちに防空壕を知ってもらい、家族で平和を考えるきっかけになれば」

 建設会社を営む小山さんが自宅近くの山林を購入したのは約6年前。山の斜面には竹林に埋もれる形で大きな洞穴があった。人の手で掘られた様子がうかがわれ、小山さんは見た瞬間に鳥肌が立ったという。地域のお年寄りに聞いたり、図書館やインターネットで調べたりした結果、学童疎開した国民学校の児童向けに旧日本軍が掘った可能性が高いことが判明したという。

 「防空壕は崩落の危険もあり、埋め戻されることも多い」と小山さん。ただ、誰かの命を守るために一生懸命掘られたものを後世に残したいとの思いから保存を決断した。約4年前に整備に着手し、農家のアドバイスもあって2年半ほど前からシイタケの生産をスタートさせた。


旧日本軍によって掘られたとされる防空壕=川崎市麻生区栗木
旧日本軍によって掘られたとされる防空壕=川崎市麻生区栗木

 1年半ほど前に、農業の素人の小山さんにとっても栽培しやすいキクラゲに転換。幅約3メートル、高さ約2・5メートル、奥行き約13メートルの防空壕は、年間を通して20~25度に保たれ、湿度は90%を維持している。常に新鮮な空気を取り込むことで、キクラゲにとって最適な環境を生み出している。夏場が旬のキクラゲだが、通年の栽培も可能で、菌床を壕内に入れてから20日程度で収穫できる。

 昨夏は月間100キロ程度だった収穫量が、今夏は倍増。1日6回の水やりは、壕内に敷設したホースからタイマーで自動で行えるよう設備を整え、さらなる増産を目指している。流通量が増えるほど、「防空壕きくらげ」の名称が世に広まることになるためだ。

 「家族で囲む食卓でも防空壕のことが会話になるのではないか」と小山さん。「空襲から逃れるために、これほど大変な思いをして穴を掘らなければならなかった事実を伝えていきたい」と意欲を見せている。

 防空壕きくらげは、JAセレサ川崎の大型直売所セレサモスなどで購入できる。


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