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奪われるわが子の成長 呼吸器外せず、父「差別」に怒り
難病児童バス乗車認めず 県教委通知に救済申し立て

社会 神奈川新聞  2017年09月12日 11:47

人権救済申し立てを行った綾優太君の父崇さん=都内
人権救済申し立てを行った綾優太君の父崇さん=都内

 難病のため人工呼吸器を着けて県立の特別支援学校に通う男児が11日、県教育委員会の通知によって、校外活動の際にスクールバスへの乗車が認められなくなり、人権が侵害されたなどとして、日弁連に救済申し立てをした。

 申し立てによると、男児は横浜市鶴見区の綾優太君(7)。「先天性ミオパチー」のため人工呼吸器を常時装着し、学校生活には家族らが付き添っている。遠足などの際はバスに乗っていたが、県教委が昨年12月「人工呼吸器を外せない児童は、校外活動でバスに乗車させない」と学校に通知したため、今春の校外学習でバスに乗れなかった。

 また、家族は優太君の世話の一部を学校に任せたいと希望したが、通知に「人工呼吸器の実施は保護者に依頼する」という内容も含まれており、協力が受けられないことになったという。

 父親の崇さん(43)は申し立て後に東京都内で記者会見し「差別的な取り扱いで、泣き寝入りはできない」と訴えた。県教委特別支援教育課の横沢孝泰課長は「申し立て内容を把握しておらずコメントできないが、要望には真摯(しんし)に対応したい」と話した。

 「行政が差別のお触れを出している。声を上げざるを得ない」-。日弁連に人権救済申し立てを行った綾優太君の父崇さんは記者会見で語気を強めた。息子の成長の機会を奪う県教委の通知に、憤りを隠せなかった。

 崇さんによると、優太君は生まれつき筋肉が成長しない疾患がある。特に口の筋肉が育ちにくいため、呼吸やせきが難しく、人工呼吸器を常時装着している。

 同様のケースでは訪問教育を受けることも多いというが、「外出好きだし、さまざまな人と触れ合える学校に行かない手はない」(崇さん)と、昨年4月から県立の特別支援学校に通学。知人の名前を積極的に呼ぶといった変化もあり、「学校に行かせてよかったと確信している」と話す。

 とはいえ、通学は簡単ではない。自家用車での登下校に、校内では崇さんか妻が付き添い、1時間に1回はたんの吸引を行う。行政書士の崇さんはパソコンで仕事をしながらの付き添いだが、医療ケアの一部を看護師などの学校職員から受ける準備を学校側と進めていた。

 その道が閉ざされたのは昨年12月。崇さんが情報公開請求で取り寄せた県教委の通知は、優太君のように気管切開をして人工呼吸器を使用する児童は「外すと重篤な状態になることがある」とし、呼吸器の安全管理は「保護者が責任を持つ」とあった。さらに、校外活動の際のスクールバスは、リスクが高いとして乗れないことになった。

 県教委の指針は呼吸器療法の児童の医療ケアは原則看護師が行うとし、従来は主治医や学校の意見を踏まえて対応を決めてきた。だが指針は、夜間のみの呼吸器装着など補助的に使用しているケースを想定しており、特別支援教育課は「常時装着は想定していなかった。指針を補完する意味の通知」と説明する。呼吸器の小型化が進んだ背景もあり、現在は指針の見直しも含めて在り方を検討中という。

 崇さんは「ケアを親以外の人にやってもらうことも教育の一環。いつまでも親の世話を受けて生きていくことはできないし、優太にとって親以外の人と接触する貴重な機会が失われてしまっている」と述べた。


県立特別支援学校に通う綾優太君(崇さん提供)
県立特別支援学校に通う綾優太君(崇さん提供)

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