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居場所失い孤独に…望まぬ性交渉も LGBTの子に啓発を

カルチャー 神奈川新聞  2019年08月06日 14:55

「子どもの健康を守るのは大人の責務。家庭や学校に居場所を見いだせない子たちがいることを知ってほしい」と話す星野慎二さん=横浜市神奈川区
「子どもの健康を守るのは大人の責務。家庭や学校に居場所を見いだせない子たちがいることを知ってほしい」と話す星野慎二さん=横浜市神奈川区

 進学を機に多くの子どもたちが手に入れるスマートフォン。便利な半面、インターネット上のトラブルに遭うリスクも忘れてはならない。性的少数者(LGBTなど)の子たちも同様で、孤独感から出会いを求め、望まない性交渉に発展する問題などが起きている。支援団体は子どもを守るために必要なサポートの在り方を呼び掛けている。

 性的少数者のコミュニティースペースを運営するNPO法人「SHIP」(横浜市神奈川区)には、ネットを巡るトラブルに関する相談が当事者家族らから寄せられている。同法人代表の星野慎二さんによると、その件数はこの5年ほどで急増。「LGBTの話題がメディアで目立つようになり、自らネットで調べる子どもたちが増えたのが一因」と分析する。

 トラブルの背景には、性的少数者が日々抱えている生きづらさがある。

 生まれた時に割り当てられた性別とは異なる性別で生きるトランスジェンダーの場合、「男らしさ」や「女らしさ」を求められたり、男女別に分けられたりする場面で強いストレスを感じやすい。「一刻も早く体と性別を変えたい」との焦りから、ネット上に出回っている個人輸入のホルモン剤を入手し、自己判断で投与してしまうケースもあるという。

 星野さんは「一度投与を始めると完全に戻ることができない」と指摘。副作用を伴うホルモン剤の使用は体に異常がないか定期的に検査をしながら進めるものだといい、「性が揺れ動く思春期に自己判断で投与を急ぐのはとても危険なこと」と注意を促す。


性的少数者の子どもたちが体験した、インターネットを巡るトラブルの事例や対策をまとめたリーフレット
性的少数者の子どもたちが体験した、インターネットを巡るトラブルの事例や対策をまとめたリーフレット

 中学校や高校に通う同性愛者や両性愛者の中にも、学校で性的少数者に関して肯定的な情報を得られないことに不安を覚え、仲間を求めてネットにアクセスする子たちがいる。そこで出会った同性の大人に性的な関係を迫られて応じたり、買春目的の男性から金銭を受けつつ性交渉をしたりと、孤立につけこんだ性的搾取が同性間でも起きている。

 「トラブルをきっかけに性的少数者であることが家族に知られ、『家から出て行け』と突き放される子どももいる」と星野さん。昨今は性的少数者への理解が高まっているとみられがちだが、一般市民の感覚はそこまで及んでいないとして「居場所を失う当事者の支援は喫緊の課題」と明かす。

 大人が取り組むべきこととして「ポジティブな環境作り」の重要性を説く。学校では当事者が孤独にさいなまれないよう、多様な性への認識を深めつつ性的少数者に対して偏見がないメッセージを伝えること。共感し合える当事者とつながりが持てるといったメリットもあるネットとは適度な距離を保ち、適切な情報やサイトに導くことも保護者や教師ら身近な大人の役割だと話した。

 SHIPは今年、こうした被害実態をまとめた支援者向けのリーフレットを作成した。A4サイズの三つ折りで約1万部を発行し、県内の公私立の中学校、高校800校に配布。県や横浜市が実施する相談事業や県内の交流スペースの情報も掲載した。

 星野さんは「子どもたちが思い悩んでいないか常日頃からアンテナを張り、困難がみられる場合は行政の専門相談や支援団体に連絡してほしい」と話している。リーフレットの問い合わせはSHIP☎045(306)6769(水、金、土曜の午後4~9時と、日曜の午後2~6時に開館)。


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