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大人も子どもも楽しめる不思議な世界 川崎で二つの展覧会

カルチャー 神奈川新聞  2019年08月16日 21:32

「妖怪/ヒト」展の会場=川崎市市民ミュージアム
「妖怪/ヒト」展の会場=川崎市市民ミュージアム

 身近な世界がふと異質に感じられる瞬間、もしかしたら妖怪やこびとがいるのかも-。川崎市市民ミュージアム(同市中原区)では不思議な世界をテーマにした二つの展覧会を開催中だ。ぞっとしたり、思わずくすっと笑ったり。大人も子どもも、それぞれの視点で堪能できる。

 人々が恐怖を感じる対象が、妖怪や幽霊から人間へと変わっていった様子を追い、その境界線に注目しているのが「妖怪/ヒト」展だ。錦絵を中心に約100点が並ぶ。

 科学では説明できない現象を引き起こした妖怪。会場入り口ではかっぱを取り上げ、現在の大分県で捕獲されたかっぱ図を紹介している。頭の皿にふたがある、カメのような歯が上下に4本あり、とがっている、など詳細な添え書きがあり、現実味がある。

 人間の顔に牛の体をした「件(くだん)」の剝製も展示。生まれたときに人の言葉で予言をし、すぐに死んでしまう妖怪で、その予言は外れないという。

 こうした妖怪は異界の存在だったが、明治期には日清・日露戦争によって、人間による所業の恐ろしさが浮き彫りになるなど、現実そのものが恐怖の対象となった。戦場の様子を伝える錦絵は爆撃や緊張した兵士を描き、生々しい。

 近代以降の恐怖に関して、同ミュージアムの定森裕太郎学芸員は「それまでは、妖怪がいたからこそ、人間の恐怖心はそれ以上、残酷なものにならなかったといえる」と話した。


「こびとづかん」シリーズに登場するこびとのフィギュアが並ぶ一角=川崎市市民ミュージアム
「こびとづかん」シリーズに登場するこびとのフィギュアが並ぶ一角=川崎市市民ミュージアム

 2006年に刊行された絵本「こびとづかん」シリーズ。「なばたとしたか こびとづかんの世界」展は、作者のなばたとしたか(1977年生まれ)による強烈な印象を残す原画やスケッチ、フィギュア、映像作品など300点以上によって、作品の魅力をひもといている。

 なばたは幼い頃、物音などが怖いときに「きっとこびとがいたずらしている」と想像し、恐怖を紛らわせていたという。そのため、やや不気味な表情をしたこびとたちは、虫や植物のような自然の生き物として、いかにも存在していそうな姿で描かれている。


「こびとづかん」から表紙((C)ToshitakaNabata)=川崎市市民ミュージアム
「こびとづかん」から表紙((C)ToshitakaNabata)=川崎市市民ミュージアム

 既に250種以上が“発見”されており、図鑑には名前や特徴が記されているが、解明されていない点も多いらしい。会場に並ぶ約50体のフィギュアは、なばたが1体ずつ手掛けた“剝製”で、基本的に等身大だという。

 同ミュージアムの奈良本真紀学芸員は「原画には、絵本になったときに失われる勢いや色がある。ぜひ力強さを感じてほしい」と来場を呼び掛けた。

 「妖怪-」展は9月23日まで。祝休日を除く月曜と8月13日、9月17日休館。一般200円、高校・大学生と65歳以上150円。8月11日午後2時から、「新耳袋」著者の木原浩勝による怪談トークショーを行う。観覧券必要。定員になり次第締め切り。

 「なばた-」展は9月8日まで。8月12日を除く月曜と13日休館。一般600円、高校・大学生と65歳以上450円。9月8日午後1時と3時から、なばたのサイン会を行う。各回先着30人で、当日ミュージアムショップで対象商品の購入者に整理券を配布。

 問い合わせは同ミュージアム☎044(754)4500。


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