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「勝者も敗者もない」 横浜大空襲や旧満州 語り継ぐ集い

社会 神奈川新聞  2019年08月04日 11:06

戦争体験を語る福田さん(右)と小谷さん=横浜市南区の南公会堂
戦争体験を語る福田さん(右)と小谷さん=横浜市南区の南公会堂

 戦争で庶民が受けた苦しみや、その愚かさなどを語り継ぐ集いが3日、横浜市南区であった。横浜大空襲を経験した福田三郎さん(87)=同市港南区、旧満州(中国東北部)で少女時代を過ごした小谷洋子さん(86)=同=の言葉に約50人が耳を傾けた。

 1945年5月29日、福田さんは13歳の時に横浜大空襲に遭った。

 横浜駅近くの工場にいると空襲警報が響いた。「何かおかしいと外に出ると、B29が低空を飛んでいた」。爆撃が始まり、北の方角を見ると黒い煙と真っ赤な炎が立ち上っていた。「何で夜がきたのか」と思うほど暗く、音を立てて焼夷(しょうい)弾が落ちてきた。

 目の前の運河に飛び込み、体を浸してから逃げたが町中が燃えて熱風と火の粉が吹き付けてくる。「道に倒れている人をまたぐようにして」、神奈川公園に駆け込んで九死に一生を得た。

 空襲では、30センチ四方に1発の焼夷弾が投下されたという。「その状況で逃げ、生きていることが不思議」と振り返った福田さんは、「戦争には勝者も敗者もない。勝っても負けても、大勢の人が死ぬ。二度と戦争がないよう、皆さん力を合わせていこう」と締めくくった。

 小谷さんは、女学校の1年生だった時にハルビンで敗戦を迎えた。

 国境を越えたソ連兵による略奪が各地で起き、暴行被害を心配した父親は小谷さんを丸刈りにして、男子中学生の制服を着せて過ごさせた。父親も捕虜として捕らえられる恐れがあり、自宅に兵士が来ると小谷さんと父親は隠れ、当時30代後半だった母親が老婆に扮(ふん)して応じた。

 ある日、物置に隠れていると、扉のすき間から機関銃を持った兵士の姿が見えた。「心臓の音が外にまで聞こえるのではないかと心配になるぐらい、どきんどきんと激しく鳴った」。積み上げた石炭の上に座っていたが、「それが一つでも落ちて音がしたら、私は撃たれる」と体が震えた。30分ほどの出来事が「1時間にも2時間にも感じた」という。

 小谷さんは翌46年秋に旧満州から引き揚げた。「当時12歳の子どもの体験なんてケシ粒のようなものだが、戦争の恐ろしさ、愚かさを感じ、平和への思いを大きくしてくれたら」と力を込めた。


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