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県農業協同組合中央会 長嶋喜満会長
トップに聞く 県下全体で協力深化

経済 神奈川新聞  2017年09月09日 14:34

県農業協同組合中央会の長嶋会長
県農業協同組合中央会の長嶋会長

 JAグループ神奈川の代表機能を担う県農業協同組合中央会(JA県中央会、横浜市中区)の新会長に長嶋喜満氏(66)=さがみ農業協同組合・代表理事会長=が6月、就任した。農協改革の議論が高まる中、JA全農かながわなどの会長も兼任する同氏に、今後を聞いた。
 
 -就任の抱負は。

 「県内は一般に『都市農業』と一くくりにされがちだが、実際は中山間地の県央から湘南、三浦半島まで、条件の異なる多様な農地が存在する。日本の農業の縮図のようでもあり、そうした多様さの中で、県下全体で協力・連携できることがあれば、自己改革でより深化させていきたい」

 -改正農協法が昨年施行されるなど、政府主導の農協改革が進められている。

 「農家の高齢化が進んでおり、農業自体のあり方は変えないといけない。政府の言う改革の必要性を大枠で理解するが、国内農業や日本の食料をどう守るか、という議論が政府の考え方とかみ合ってこない。米国を除く11カ国による環太平洋経済連携協定(TPP)への考え方などもそうだ」

 「生産資材価格の引き下げなどの努力がさらに行われたりと、今までの慣例的なことからの脱却は必要と考えるが、過度に進めば寡占化など、逆効果になる場合もある。生産資材の購買など経済事業を担う全農も将来を見据えながら取り組んでいるし、それぞれの農協の声も聞きながら全体が進まないといけない」

 -全農の株式会社化の議論についてどう考える。

 「株式会社というのは出資者への責任は大変大きくなる一方、お互いに助け合う共助が薄れていく懸念があるのは事実だと思う」

 -農協から金融事業を分離すべきだ、との議論は。

 「農協も厳しい現実の中で運営されていることを知ってほしい。例えば多くの人が利用する直売所が赤字でも、皆さんが喜んでくれ、地域振興につながるならばと取り組んでいる。その原資は何か、というと総合事業を展開する中でつくっている。それが分断されれば、何をもって運営するのか。ここは譲れないし、理解してもらえるように発信したい」

 「農協が総合事業経営体として展開してきたがゆえに、農業だけでなく地域社会の発展にも役割を果たしてこられた。農協が運営する給油所もそうだ。株式会社なら撤退するところだが、地域のインフラを守ってきた。総合事業経営体としてのあり方を見直せば、中長期で地域の疲弊や崩壊も招くのではないか」

 -今後、どんな組織運営を目指すか。

 「農協は協同組合なので、自分たちの地域などをみなで守っていこうというのが基本の考え方。その上で、農業界だけでなく、地域の方々にも、より賛同、共感してもらえる組織にならねばいけない」

 「900万人の県内消費者に向けて、今後も継続して新鮮で安全な農産物に安心を添えて届けていけるよう、強みを育てたい。若手や職員の意見もどんどん吸い上げ、お互いに努力していく方向に導いていく」
 

ながしま・よしみつ 2011年にさがみ農業協同組合(JAさがみ)代表理事組合長、14年から同組合・同会長。JA県中央会では11年に理事、14年に副会長、今年6月から現職。JA全農かながわなどの会長も兼任する。東京農業大学卒。藤沢市在住。


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