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伊東沖海底噴火30年 不安と混乱、教訓今に 

減災 神奈川新聞  2019年07月31日 16:13

 静岡県伊東市沖で1989年7月に海底噴火が発生してから30年が経過した。地元には当時、不安と混乱が広がり、情報提供の在り方などに課題を残したが、教訓を生かす形で防災対策が進んだ。今月19日に開かれた記念シンポジウムでは「備えて、伝える」ことの大切さが強調された。


海上保安庁の測量船から撮影された海底噴火の様子
海上保安庁の測量船から撮影された海底噴火の様子(同庁提供)

群発

〈伊東沖で海底噴火 ごう音、噴煙30メートル〉

 89年7月14日付の神奈川新聞は、海底噴火を1面トップで報じた。避難所で不安な一夜を過ごす住民の姿などを社会面に見開きで展開。「相模湾沿岸一帯は津波に襲われる可能性がある」とする神奈川県温泉地学研究所のコメントも伝え、“対岸”から大きな関心を寄せていた。

 伊東市や気象庁の資料などによると、噴火が起きたのは13日午後6時半すぎ。小規模なマグマ水蒸気噴火で、同市の沖合約3キロの海上で噴煙と水柱が立った。伊東沖では1978年から毎年のように群発地震が発生していたが、噴火は有史以来初めてだった。

 海底噴火の際も地震活動が先行していた。始まったのは、噴火2週間前の6月30日。7月4日に急増し、有感地震も多発した。9日には最大規模となるマグニード(M)5・5の地震が発生。伊東では震度6相当の激しい揺れになったとされ、横浜でも震度3を記録した。


記念シンポジウムで、30年前の海底噴火の経験を語る高田さん(右)ら =19日、伊東市観光会館
記念シンポジウムで、30年前の海底噴火の経験を語る高田さん(右)ら =19日、伊東市観光会館

急変

 地震はその後、減衰していったが、11日に事態が急変。それまで観測されたことのなかった大きな振幅の火山性微動が捉えられた。

 火山噴火予知連絡会は12日、「微動は地下のマグマの活動による可能性がある」とのコメントを発表。13日の噴火を受け「灰黒色の噴煙を伴う噴火を6回認めた」「今後も噴火が発生する可能性があるので、付近の海上と沿岸地域では厳重な警戒が必要」と呼び掛けた。

 水柱は高さ110メートルに達したが、付近の海域を調査中だった海上保安庁の測量船は無事だった。火口は後に「手石海丘」(高さ約10メートル、直径約450メートル)と名付けられた。

 一連の活動では、伊東市や熱海市で住宅の屋根瓦の落下や水道管の破損、ガス漏れなどが生じ、20人以上の負傷者も出た。ただ、被害の要因は地震で、噴火による直接的な被害はなかったという。地震の総数は9月までで約2万5千回に達した。

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