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ロボットスーツ、海老名市消防導入 患者搬送をアシスト

社会 神奈川新聞  2019年07月29日 22:23

 救急隊員の身体的負担の軽減につなげようと、海老名市が今月、患者搬送時の力仕事などをアシストするロボットスーツを県内で初めて導入した。女性隊員が男性隊員との体力差を補い、活動の場を広げることも狙いで、自治体消防での導入は、茨城県つくば市に続いて全国2例目という。16日から出動現場でも活用しており、29日に報道公開した。

 導入したのは、筑波大発のベンチャー企業「サイバーダイン」(つくば市)が開発した「HAL(ハル)腰タイプ作業支援用」と呼ばれる製品4台。腰や太ももにベルトなどを巻き付けて装着する。

 体を動かそうとする際に脳から筋肉に伝わる微弱な信号をセンサーで捉えてモーターなどが作動、装着した人の動作をサポートする仕組み。腰への負担が最大4割減るという。


腰への負担を軽減するロボットスーツを実演する海老名市消防本部の女性隊員=同市大谷
腰への負担を軽減するロボットスーツを実演する海老名市消防本部の女性隊員=同市大谷

 重さは約3キロ。事前に腰に腹巻きのようなベルトを巻く必要があるが、「本体は30秒以内で装着でき、着けたまま救急車両に乗り込める」(海老名市消防本部)のも特徴だ。

 救急隊員は傷病者を乗せた担架を運んだり、ストレッチャーを持ち上げたりする業務で腰痛を発症するリスクが小さくない。市消防本部が救急隊員(全36人)に実施した聞き取りでは、過去に腰痛を経験したことがある人が58%、腰痛に不安を持つ人が53%に上る。

 市消防本部本署に勤める女性の山本理紗隊員(27)は「エレベーターがなく、高層階から人を運ぶ際など、より不安なく安心して活動できる」と効果を実感する。一方、隊員の中からは「屋内が狭く、家具が多い場所などでスーツを脱がないといけなかった」といった報告もあり、市は今後に役立ててもらう目的で開発元に報告するという。

 本署に2台、北分署と南分署にそれぞれ1台を配備した。市は今回の導入をきっかけに、将来的には農業分野や高齢者福祉など救急の現場以外での活用も模索していく考え。

40キロ土のう楽々と
記者も装着体験

 海老名市が救急の現場に導入したロボットスーツとはどんなものか。本紙記者もその効果が気になり、体験させてもらった。

 まず渡されたのが腹巻きのようなベルト。このベルトには体を動かそうとする際に脳から筋肉に伝わる微弱な信号を読み取るセンサーが着いており、肌に密着させなければならない。

 ベルトを巻いた上で、腰回りに本体を装着するまで20秒足らず。一刻を争う現場でも素早く身に着けられそうで、3キロほどの重さもそれほど感じない。

 スーツの効果を実感したのは、歩き出してから。腰が押されて、足が前に出るように感じる。

 市消防本部に用意してもらった40キロの土のうを持ち上げるテストにも参加。あえて前かがみの状態から土のうをつかみ、スイッチを入れた状態と、入れない状態で試してみる。

 オンとオフでは大違い。オンの状態だと下半身が安定。上半身がすっと持ち上げられる感覚があり、土のうを楽々と運ぶことができた。これに対し、オフでは腰部がずんと地面に引っ張られた。

 本体右側にあるボタンで5段階までサポートのレベルを上げることができ、レベルを上げるにつれ、その効果を感じられた。市消防本部の幹部によると、より長い時間使うと身体的な負担の軽減が感じられるそうだ。

 雨天でも使用でき、バッテリーで3時間程度、稼働する。一方、夏場の暑い中で使う際、隊員の体力を消耗しないか、連続した俊敏な動きをする際に支障が出ないかなど疑問も湧いた。同市消防本部は「そうした課題面も検証したい」としている。


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