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公園灯全て、LEDに 脱水銀、コスト減も 厚木市

政治行政 神奈川新聞  2019年07月28日 13:26

発光ダイオード(LED)化が図られた厚木中央公園の照明=厚木市寿町
発光ダイオード(LED)化が図られた厚木中央公園の照明=厚木市寿町

 厚木市は、市が管理する全ての公園の電灯を発光ダイオード(LED)照明に切り替える。水銀による環境汚染や健康被害の防止を目指す「水銀に関する水俣条約」が2017年に発効し、従来の水銀灯の調達が困難になる見通しなどから転換を図ることにした。今月から作業に着手しており、11月末までにLED化を完了させたい考え。

 同条約は、21年から水銀を含む製品の製造や輸出入を原則禁止と定める。これまで使用してきた水銀灯が同条約の規制対象に当たるため、市は18年度から児童遊園を含めた市内の全公園で現況調査を実施。水銀灯が多く残ることを確認、今後の方策を検討していた。

 LED照明は代替品としてだけでなく、費用や環境面からも採用を決めた。市が管理する全公園352カ所のうち、照明があるのは225カ所で、LED化の済んでいない221カ所の1221灯具が切り替えの対象となる。

 市公園緑地課によると、年間で電気代が約1700万円かかっていたが、LED化で720万円に抑えられる見込み。機器の耐用年数も約5倍に当たる14年ほどとなり、維持費を大きく低減できる。また、二酸化炭素(CO2)の年間排出量も425トンから7割近く削減することが可能になる。市はこのほど、事業者からLED機器を10年間賃借する契約を締結。賃借料は毎年約930万円だが電気代などのコストダウンを加味すると、単年度の総額で現状より年間200万円の削減になる。また契約期間終了後、LED機器は市に移管されることになっており、11年目からは賃借料がかからないという。

 小林常良市長は「電気代などが安く、機器の寿命も長い点をもって変更していくことにした。照明(が適切に維持・管理されていること)で犯罪抑止などにもつながると思う」と取り組みに期待を寄せた。

9市町村計画なし 「転換促す」契機に 公園灯のLED化

 厚木市が、期間を定めて公園灯のLED化を進める一方で、厚木市以外の相模原・県央地域の9市町村では、具体的な計画がないのが実情だ。多額な費用がかかることが、背景にあるとみられるが、厚木市の施策が他の自治体に切り替えを促すきっかけになるのでは、との見方も出ている。

 神奈川新聞社が厚木市を除く9市町村に聞き取りしたところ、多くの自治体が「修繕や交換が必要になった際に順次、切り替えに取り組んでいる」(海老名市)と回答した。

 政令市の相模原市は灯具のある市内の481公園のうち、LED化の完了は11公園と2%程度にとどまるという。「水銀に関する水俣条約」の規定で水銀灯の流通が今後途絶えることを踏まえ、担当者は「具体的な計画はないが課題と捉えている」と説明した。

 他の自治体も同様で「水銀灯をこのままにしておくことはできない。対策を考えないといけない」(座間市)、「水銀灯の流通の期限が迫る課題は認識しており、LED化に向けた調査や計画づくりに取り組みたい」(伊勢原市)、「いずれLEDに切り替えていくことになると思う」(綾瀬市)などとした。

 自治体関係者によると、LED化には初期費用が大きな負担となることから先送りされてきた実態もあるという。ある市の担当者は「厚木市で具体の動きが出たので対策を考えないといけない案件として、議論が進んでいくと思う」と語った。

水銀に関する水俣条約 水銀と水銀化合物による環境汚染や健康被害の防止を目指す国際条約。鉱山での採掘から輸出入、使用、廃棄まで包括的に規制する。水銀を含む電池や、体温計、蛍光ランプなどの製造や輸出入を、2020年までに原則禁止とすることも定めている。熊本市で13年10月に開かれた国際会議で採択され、17年8月16日に発効した。経済産業省によると日本を含む110の国と地域が締結済み。


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