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若年性認知症を支える(9)
精密な診療が不可欠「セカンドオピニオンも」

社会 神奈川新聞  2019年07月17日 15:23

若年性認知症について語る横浜市総合保健医療センター地域精神保健部長の塩﨑一昌さん
若年性認知症について語る横浜市総合保健医療センター地域精神保健部長の塩﨑一昌さん

 若年性認知症は、高齢者の認知症とは違った特有の課題があり、医療の課題も大きい。認知症医療の地域拠点となる「認知症疾患医療センター」の一つ、横浜市総合保健医療センターで副センター長、地域精神保健部長を務める塩﨑一昌さん(日本認知症学会専門医、日本老年精神医学会専門医)に若年性認知症の医療課題を聞いた。

-特徴的な課題は何ですか。

 「人によって症状がかなり違う。体力があるので、長く一人歩きするなど、介護者の負担も大きい。また家のローンや子どもの教育など経済的な問題も生じ、家族の苦悩も大きい」

-県内では2017年度から若年性認知症支援コーディネーターが配置されました。

 「若年性認知症の人と家族は非常に困っていたので、国もコーディネーターを制度化した。これまで、精神障害と高齢者の認知症の谷間に置かれ支援は手薄だった。医師も福祉制度に詳しくない。行政も縦割りで、二つの領域に関わる支援には対応しきれていなかった。障害者福祉と高齢者福祉の両方の知識があり、生活全体を総合的に支援する担当者ができたことは大きい」

 「地域生活を支える体制を持っているクリニックは少ないので、クリニックにはぜひコーディネーターと連絡を取ってもらいたい。コーディネーターが活動を始めてから相談件数は増え続けており、これまで相談できる態勢がなかったことを痛感している。ただ、県全体で3人というのは圧倒的に少ない。横浜市も1人では厳しい。川崎、相模原市も政令市として1人は配置しないと相談すら上がらない状況ではないかと思う」

-高齢者の認知症にも増して早期発見早期治療が重要では。

 「進行していないうちに診断を受け、適切な医療、支援を受けることは、就労の継続などでも大きな違いが出る」

-ところが、少なくない人が初診では「異常なし」と言われたり、うつ病と診断されたりしているようです。

 「患者数が少なく一般のクリニックでは医師も診断の経験が少ない。50~60代の患者では、うつ病など症例の多い病気を考えて判断しがちだ。初期段階では脳の萎縮は始まっておらず、脳の画像を見て脳梗塞などがなければ『異常なし』と判断してしまう。一般のクリニックで診断のタイミングが遅れがちになるのはやむを得ない面がある」

-診断の遅れを防ぐには。

 「異常なしと言われても、もの忘れなどの不調が続く場合、積極的にセカンドオピニオンを求めることが重要。認知症の専門医、できれば、脳血流SPECTまでの検査体制が整った認知症疾患医療センターレベルの医療機関を受診してほしい」

 「本人にとって若年性認知症は、診断を受け入れること自体も簡単ではない。受け入れられるまで紆余(うよ)曲折を経ることもよくある。しかし早期の診断は、家族との関係など、診断後の自分の人生をデザインできるようになるためのきっかけでもある。認知症は誰もがなる可能性のある病気なので、病気を持ちながらも人生でやり残すことがないように、今の状態でできること、やりたいことを実現させてあげられるような社会であってほしい」


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