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【かながわの本】線路と山河が織りなす「地図と鉄道」今尾恵介 編著

カルチャー 神奈川新聞  2017年08月30日 10:50

かながわの本
かながわの本

「地図と鉄道」
「地図と鉄道」

 古今の地形図がカラーでふんだんにあしらわれ、見ているだけで楽しい。地図にも鉄道にも造詣の深い編著者の真骨頂だ。

 「火山性扇状地をゆく箱根登山鉄道」「溶岩台地を走る伊豆急行線」「リアス海岸を貫く(略)横須賀線と京浜急行本線」などの小見出しからは、県内や周辺の鉄道路線が険しい地形を貫いていることが伝わる。テレビ番組「ブラタモリ」で自然地理の用語が人口に膾炙(かいしゃ)したこともあり、より身近に読めるだろう。「コラボレーション」と本書が表現するように、鉄道は山河と絡み合っているのだ。

 本編に差し挟まれた対談も読み応えがある。とりわけ、編著者が監修し、シリーズ累計168万部の大ベストセラーを記録した新潮社「日本鉄道旅行地図帳」を巡って、編集者の田中比呂之と語ったくだり。

 同書は、正しい縮尺で廃線も含む全線全駅を網羅した初の試みだった。「そんなに売れない」と言われながらも、すぐに重版が決まった話など、読んでいて爽快だ。赤字がびっしり書き込まれた地図の校正紙が採録されている。鉄道と本をつくる人々の情熱を感じることができる。

 県内では横浜駅の変遷を時代ごとの地形図でたどるほか、巻頭では編著者自身が新旧の地図を手に、横浜駅周辺の鉄道史跡を巡る。そのルポも面白い。編著者は横浜出身で、本紙日曜版に「地図と歩く神奈川」を4週に1度、連載中。

(洋泉社電話03・5259・0251、1620円)


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